2017年2月 8日 (水)

東芝~原発ビジネスの末路

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 年末から
1月にかけて、東芝は米国の原発建設事業で7000億円規模の損失を出していることを発表しました。詳細は214日の第3四半期の発表の際に報告予定とのことですが、全貌が判明するのはもう少し時間がかかるでしょう。

東芝は昨年度も最終損益で4,600億円もの赤字を計上しました。2006年に買収し子会社化した原子力専門のWestinghouseWH社)に係る損失です。それ以外にも数年にわたる様々な分野での事業損失や不適切(粉飾)会計などにより、東芝の資産額は危険水位に達し、信用は地に堕ちていたといえるでしょう。

 

さて、今回の米国建設事業における損失は、現在も建設中のVogtle (JA)V.C.Summer (SC)の両原発と言われています。建設事業でコンソーシアムを組んでいたCB&I社が原発事業から撤退するにあたり、実際の建設業務を請け負っていた子会社のS&W社を買い取ったものの、そのS&W社の損失見込み額をこれまで見抜けていなかったとされています。企業買収や投資判断にあたっての大前提であるDue Diligence(詳細評価)の不足あるいは欠如という基本的な企業ガバナンスが欠落していたといえるでしょう。東芝はもともとモノ造りの会社であり、建設やプロジェクトといった分野に知見・経験が不足していたとはいえ、あまりのお粗末さには呆れるばかりです。

 

東芝の今期決算に与える損失要素はこのS&W問題に限りません。これまでの原発絡みのニュース断片を拾い集めるだけで以下の項目が浮かび上がります。

l 米国サウステキサス事業(STP)の継続コスト

l 英国ニュージェネレーション事業の継続コスト

l 米国レビィ原発契約解除に伴う訴訟費用

l 中国での建設事業収支(4基)

l 米国フリーポートLNGの引き取り契約に伴う損失リスク

 

この期に及んでも、東芝は原発事業をまだ続けるつもりでしょうか?「建設」からは撤退、あまりにも楽観的であった事業計画の見直しは検討されているようですが、すでに経済的合理性の失われている原発事業にこだわり続けることは、株主や関連会社を含めた多くの従業員の不幸が再生産されていくだけのように思います。

 

状況は競合他社においても同じようなものです。三菱重工はベトナムで計画されていた案件が白紙撤回され、トルコ計画はカントリーリスク等により暗礁に乗り上げ、米国サンオノフレ社からは納入した蒸気発生器のトラブルに起因して約8,000億円の損害賠償請求を受けています。日立は英国のホライゾン事業の見通しが立たず、パートナーのGE社も原発事業に積極的ではありません。フランスのアレバ社はフランス、フィンランドの建設事業で巨額損失を被りすでに破綻・国有化の道を歩んでいます。4月からの国内燃料事業の統合を皮切りに各グループの再編も目されているようですが、今こそ抜本的な改革、すなわち、原発事業からの撤退と再生可能エネルギーを中心とした産業構造への転換が求められていると思います。

 

各原発建設事業会社の表面的な動向を眺めてきましたが、先日(131日)、ネットTVFFTV)でお話する機会がありましたので詳細はそちらをご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=dCNB3gf0000

また、3か月前にはより網羅的な報告をしています。

https://www.youtube.com/watch?v=_3QIjcYf7AI

 

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2015年12月24日 (木)

高浜原発~運転差し止め仮処分の不当決定

とんでもないクリスマスプレゼントでした。

本日午後、福井地裁(林裁判長)は、4月に樋口裁判長によって下された高浜原発差し止めの仮処分命令を取り消しました。決定の全文と要旨は以下の弁護団URLにあります。

http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/news/15-12-24/

要旨をざっと読んでみましたが、原決定の「新規制基準はあまりに緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない」という、ごくまっとうな判断を、「新基準ならびにそれへの適合性判断は合理的である」といとも簡単に覆し、さらには、原決定が謳い上げて、多くの市民からの喝采を浴びた、事故による「人格権の侵害」や「富の喪失」の問題への言及は一切ありません。政権と事業者におもねり、高浜34号機の再稼働スケジュールを優先した政治判決に強い怒りを覚えます。2015122400010002fukui00010view1_2

大飯原発運転差し止め裁判地裁判決(20145月)、高浜原発運転差し止め仮処分(20154月)と続いた勝訴によって「司法はまだ生きている」ことに、原発のみならず、戦争法や辺野古基地問題への解決を含めた、この国の未来に期待を抱かせてくれたにも拘わらず、今回の決定は政治権力の下風に立つ司法官僚たちの存在をまざまざと見せつけるものでした。

今回の高浜異議審では、私も耐震設計余裕やストレステストの件などで技術意見書の作成に関わり、弁護団の皆さんと議論する機会も多々ありました。そこで知ったのが、寝食や報酬を度外視して奮闘を続ける弁護士の皆さんの存在でした。弁護団の抗議声明は「私たちは、この不当決定に負けることはありません。(中略)失われた司法に対する信頼を再び取り戻すために最後まで闘い抜くことをお約束します」と結んでいます。高裁での闘いは続くでしょう。原告団と弁護団を多くの市民で支えていきましょう。

(追記)

高浜原発をめぐっては、2016年3月9日に大津地裁(山本裁判長)にて運転差し止め仮処分の決定が下されました! 稼働中の3号機は直ちに停止され、4号機の再稼働は中止されました。現在(2016年10月)、舞台は大阪高裁に移され、司法での闘いが続いてます。

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2012年5月 5日 (土)

原発ゼロの日!

120505up 本日(55日)の深夜をもって泊3号機が停止し、国内における「稼働原発ゼロ」が実現しました。正直、半年前には思いもよらなかった出来事です。約半年前、「ストレステストに関する意見聴取会」を巡る動きに深く関わることになった際には、「停止中原発の再稼働を少しでも遅らせることが出来れば・・・」との思いでした。ところが、市民の力は凄いものです。加えて敵失・・・そう、この間の政府・保安院の対応の酷さも目に余るものでした。福島事故から一年を過ぎても、新規制庁は影も形もありません。新たな設計や立地の審査基準も出来上がらず、過酷事故対策も立案されず、緊急防護準備区域の定義も曖昧なままです。そもそもフクシマ事故原因は究明されておらず、収束さえもしていません。今も放射能は排出を続けていますし、余震があるたびに4号機燃料プールの崩壊が頭をよぎります。原発そのものが使ってはならない技術であると同時に、今の政府と東電等の事業者にそれを運転する資格も所有する資格もないのです。

さて、原発ゼロは実現しましたが、闘いはむしろこれからです。政府と事業者による電気不足と料金値上げへの恫喝に、「原発のない夏の実現」で応えねばなりません。私たちの側にも大きな責任が生じているのです。事業者へのいっそうの追及と、単なる節電に留まらない「痛み」の共有も含めた「闘い」が必要です。敗北は再稼働議論の巻き返しに直結します。

更に、原子炉を停止したとしても、まだ膨大な量の使用済み核燃料がプールに冷却保管されています。これらが取り出され、空冷式のキャスクに保管されるまでは安心出来ません。それらの長期貯蔵と安全な廃棄への具体的な道筋は全く見えていません(何という無責任な技術!)。

更に更に、合計400基を超える世界中の原発には一体どのように対処したら良いのでしょうか?気の遠くなるような作業ですが、核廃絶運動と同様に一歩一歩進めるしかないでしょう。まずは、原発ゼロの「日」の継続を、そして原発ゼロの「夏」を実現しましょう。

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2012年4月25日 (水)

『脱原発八千代ネットワーク』の発足

120425anp 遅れ馳せながら、地元八千代市で、草の根の脱原発市民運動が始まりました。421日に発足会を開催し、63名の市民が集まりました。参加者の年齢は高めですが、市内の各地域に分散し、これまでの地域運動や平和運動に留まらない新しい顔ぶれが多くを占めました。主な活動は、(1)情報交換活動、(2)学習活動、(3)イベント活動とし、MLYahoo GroupMailing List)を十分に活用する予定です。地元活動を中心とするために、地域の放射能対策(市内にホットスポットあり)や再生可能エネルギーの発展、省エネ対策などへの関心が高いようですが、言うまでもなく、使用済み核燃料廃棄物問題や原発そのものの危険性にも切り込んでいく予定です。

1000万人署名への引き続きの取り組み(現在、約620万人、5月末まで延長されています)や、55日の「原発ゼロの日集会」(芝公園)、778日の「幕張非核コンサート」、そして、716日の10万人集会(代々木公園)などの呼びかけを行いました。全国の脱・反原発運動の一翼を担うことが出来ればと願っています。

さて、大飯3,4号機の再稼働をめぐる動きは、多くの市民や地元自治体の反対表明により、この間滞っていますが予断は許しません。政府と業界は、真夏の電力不足と料金への影響を恫喝材料に、なりふり構わない行動に出てくるものと思われます。

私たちプラント技術者の仲間は、昨年の8月以降、一貫してストレステスト問題に取り組み、保安院の主催する意見聴取会において井野博満委員や後藤政志委員らの活動をバックアップしてきましたが、そこで指摘されてきた多くの問題点や疑問点には蓋をされたまま、結局、再稼働という政治日程が優先されました。しかしながら、その過程でストレステストなるものが如何に技術的に胡散臭いものであり、とてもプラントの安全性を担保するものではないということが「常識」として、多くの市民によって共有化されてきました。

そして今、多くの技術的な諸問題が積み残され、先送りされたまま、再稼働時期だけが焦点化されています。しかし、そもそもフクシマの事故検証さえ終わっていません。炉心溶融に至った真の原因、損傷の波及経過、実際に採られた手順の効果、等々が不明のままで、「フクシマの知見を活かして」などと言える訳はないのです。また、大飯発電所近辺の活断層の連動評価も済んでいません(今日は、敦賀発電所直下の断層の存在が明らかになり、立地不適格との認定の可能性大というニュースが飛び込んできました)。また、二次評価を実施していないために、過酷事故の際の「閉じ込め機能」の評価や放射性物質放出評価なども全く行われていません。これでは、地元も判断しようがありません。

結局、原子力安全・保安院も原子力安全委員会も「技術的には安全である」と明言しないまま、政治判断だけが優先されようとしているのです。政府が発表した再稼働のための三条件、関電の対策案(何と実施に4年もかかる)、発足が遅れている規制庁(どうせ横滑り人事だが)、とても運転や運営の資格があるとは思えない原子力ムラの体質、等々、「再稼働を認めてはならない理由」は山ほどあります。

井野博満氏は言います。

「原発を推進し、作ってきた人たちの利権構造はそのままに、今、再稼働へと突き進んでいます。そうした社会的な構造も合わせ、原発行政について根本的に見直すべき時がきていると考えます」。

私たちの反原発の運動は民主主義を求める闘いでもあるのです。

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2012年3月25日 (日)

東京湾に浮かぶ原子炉 – 空母「ジョージ・ワシントン」

120324jw_2皆さんは、全国に散らばる54基の原子力発電所、東海村と六ケ所村の再処理工場、15基の小型研究炉といった核施設に加えて、東京湾に今、3基の原子炉が存在していることをご存じでしょうか?

それは、横須賀軍港に配備されている米原子力空母「ジョージ・ワシントン」の60KW x 2基と、丁度停泊中の米原潜(出力不明:約30KWか?)1隻です。

今日、小雨模様のなか地域のグループと、米海軍と海上自衛隊が共用する横須賀軍港の見学に行ってきました。目的は、東京湾に浮かぶ核施設を直接見るためです。最初は高台の「按針台公園」から港全景を見下ろします。まず目に付くのは、眼下の埠頭に停泊中の海上自衛隊のイージス艦です。その向こうに今度は複数の米海軍のイージス艦、諸艦船、2隻の海上自衛隊潜水艦、補修施設群、そして巨大なジョージ・ワシントンの姿の一部見ることが出来ます。これだけでも、日米の統合運営の実態がよく見てとれます(昨年訪れた横田基地の場合と同じです)。

続いて、港に降り、港内を45分間で周遊する「横須賀軍港巡りツアー」に乗り込みます。これは、一般観光客用のクルーズであり、私たちも船内での「空母帰れ」のシュプレヒコールはさすがに控えます(^^;)。船内アナウンスによる各艦船の説明は分かり易く、かなり勉強になった次第です。

さて、間近に見る「ジョージ・ワシントン」はさすがに巨大です。全長333m、幅41m、高さ60mとのことで、有翼機56機とヘリ15機を搭載し、併せて約6,000名の艦員と航空要員が乗り込むとのことです。原子炉(PWR60KW2基)は横須賀に帰港すると停止し、燃料冷却用の電源は構内の発電所から外部補給されます。その発電所は岸壁レベルに建てられており、津波には無防備です。また、横須賀地域を走る三浦半島北部活断層の存在は、最近、マスコミでもたびたび採り上げられている通りで、M7クラスの直下型地震の起こる確率は30年以内6 - 11%と言われています。フクシマのような炉心事故の場合、20km圏内には横浜市、30km圏内となると川崎、平塚、房総の木更津といった巨大人口地域を含みます。都心までもたったの45kmです。首都圏は壊滅となります。

停泊中の炉を含むメンテナンスは米軍側によって実施され(廃棄物は定期的に米国に送られているとのことです)、日本側が立ち入ることは出来ません。首都圏の安全に大きく関わる核施設の管理が全く他者に委ねられているのです。

今、大飯の再稼働を巡って議論されている、ストレステスト・・・横須賀港に停泊中のジョージ・ワシントンにも真っ先に適用すべきです。いやなら、即、出て行ってもらいましょう。

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2012年3月11日 (日)

3月11日・・・フクシマ一周年

Dscf0205 今日は全国各地で東日本大震災の一周年記念式典が開催されていました。私は日比谷公園で開催された「311再稼働反対!全国アクション、~祈りと一歩~」の集会に参加してきました。デモの後、国会議事堂を取り囲む「人間の鎖」イベントもあったのですが、その前に帰路につきました。最後まで参加された方々、お疲れさまでした。

今日現在、全国で稼働中の原発は泊3号機(北海道電力)と柏崎刈羽6号機(東京電力)の2基だけとなりました。原発の将来をめぐっての行方が定まらない中5月の初めには実質的な『原発ゼロ社会』が実現しようとしています。そのことに危機感を抱いた政府当局と、産業界を含む原子力ムラは、大飯3&4号機と伊方3号機の再稼働に向けての必至の動きを続けています。その拠り所となるのが、電力不足キャンペーンと、すでに実施された一次ストレステストです。ところが、それも多くの専門家や世論によって、所詮は机上のシミュレーションであり、前提には多くの楽天的仮定や不確かさ、曖昧さが含まれていることが指摘されています。審査を実施した「原子力安全・保安院」や審査中の「原子力安全委員会」さえも、「テスト結果はプラントの絶対的な安全性を保障するものではなく、再稼働可否については政府の判断である」と逃げ出す始末です。

原発立地自治体の各首長も当然のことながら、自らの判断を放棄しています。かくして、誰もが責任を放棄をした再稼働に向けての「政治判断」は野田首相、藤村官房長官、野田経産相、細野原発相の4名に預けられることになりました。

保安院も原子力委員会も技術的な立場からの責任をとることの出来ない重要な再稼働問題を、果たして、少数閣僚による政治判断に転嫁しても良いものでしょうか?

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2011年12月16日 (金)

ストレステスト評価による危険な再稼働への道

111215st 全国54基の原発のうち、今日現在で稼働しているのは8基となりました。年内には更に定期点検対象が増え、6基となります。いよいよ実質的な脱原発社会が近づいています。一方で、ストレステストを巡る動きが慌ただしくなっています。事業者からの評価報告書は1028日の関西電力大飯3号機を皮切りに、今日までに7冊の報告書が提出されています(全て三菱重工製のPWR型)。

そもそも、ストレステストはフクシマの事故を受けて、EU理事会が傘下の14か国、143基の原発を対象として実施要請をしたことに始まります。それが日本では、一次評価を停止中原発の再稼働の条件としたことで矛盾や混乱が生じています。ストレストテストによる評価は、プラントの弱点の把握や改善のためのツールのひとつとして利用することは出来ても、所詮は机上のシミュレーションです。その結果は絶対的な安全評価結果を導くものではなく、それを稼働条件とすること自体に無理があります。

今回のテストはいわば、原発プラント破壊のシミュレーションを机上で行おうとするものですが、私たちは福島で大規模実物破壊を目の当たりにしたばかりです。その破壊の諸データを収集、解析、診断し、設計・製作の手法を検証することこそが優先されるべきです。特に、福島事故では津波による全電源喪失以前に地震動による破損が冷却材喪失事故に至ったという指摘があります(東電は否定していますが)。このことは、現行の耐震設計審査基準への疑問を投げかけると共に、その指針に基づく全原発の耐震安全性に疑義を生じさせるものです。地震列島上に存在する全原発の耐震バックチェックの厳重な見直しこそが優先されるべきだと思います。

現在、専門家による「ストレステストに係る意見聴取会」が開催されています(写真、今日までに4回開催)。保安院による筋書きの下、電力事業者の作成した報告書を原子力ムラの学者たちが補完して客観性を装うというお馴染みの仕組みですが、今回は井野博満氏(東大名誉教授)と後藤政志氏(元原子力技術者)という二人の市民派委員が参加していることにより様相が異なってきています。聴取会の場で多くの批判的意見が出され、テストを再稼働条件のひとつとすることへの不当性を明らかにする試みが続けられています。

審査の技術評価作業を担っている独立行政法人・原子力安全基盤機構(JNES)には多くの主建設契約者OBが勤務しています。大飯、伊方の評価作業においても主契約者であった三菱重工のOBが実務に携わり、かつ複数名が陪席者として意見聴取会にも出席しています。これでは公正さの欠如と利益相反が疑われても仕方がありません。129日に総務省「政策評価・独立行政法人評価委員会」から経産相に提出された「勧告の方向性」によると、JNESは「原子力事業者の出身者を多数採用しており、検査の中立性・公正性に疑念がある」、「検査対象を、出身元と関わりのない施設に限るべきである」と厳しく弾劾されています。彼らにテスト結果を審査する資格はありません。併せて、意見聴取会各委員についても電力業界からの寄付金、補助金等の受け取り有無について利益相反の視点より確認・公表すべきです。これらの意見、疑問に対する保安院からの回答は、これまでの審査の枠組みや姿勢を超えるものではなく、現時点では対立点を残したまま議論が続いています。

今後、推進側は他の原発の報告書を続々と提出することによって再稼働に向けた攻勢をますます強めてくるでしょう。意見聴取会で追及されている、ストレステストの欠陥や不当性を各市民団体や原発地域の人々と共有化することによって、再稼働阻止の運動が更に確固としたものになっていくことを願うばかりです。

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2011年10月26日 (水)

フクシマ事故はどのように起こったのか?@議員会館

Dsc_0045 檀上に並んだ方々をご存じでしょうか?向かって左から田中三彦氏、渡辺敦雄氏、後藤政志氏の3名で、かつて原発機器製造メーカーに勤務し、実際に格納容器の設計に携わった技術者の皆さんです。すでに著書や雑誌掲載記事、TV出演等でご存じの方も多いかと思われます。この御三方が本日(1026日)、衆院議員会館にて『政府・東電の福島第一原発事故批判 何故地震の可能性を排除するのか』という報告会を行いました(主催者は民主党の川内博史議員)。

それぞれ、「地震動による冷却材喪失事故の可能性検討」、「原子炉格納容器における水力学的動荷重」、「地震で圧力抑制機能が失われる可能性」という何やら学会発表のようなタイトルが並びましたが、図表やシミュレーション映像などを駆使し、出席された議員や多くの市民参加者にとっても実に分かり易い丁寧な説明でした。

要は、政府・東電が主張する「フクシマは津波でやられたのだから、防波堤などの津波対策を強化すれば他の原発は安全だ」という見解に大きく疑問を投げかけるものです。とりわけ、地震動による配管破損と冷却材の喪失の可能性、福島等の初期原発に採用されているMark-I型の欠陥、低周波地震動による圧力抑制室プールのスロッシングによる破壊の可能性などは、地震列島に建設された原発の宿命として徹底的に検証されねばならない問題です。本来ならば破損したフクシマのそれらの部材の診断と検査が必要ですが、恐らく10年以上にわたって近づくことも出来ないでしょう。事故の真の原因はまだ闇の中なのです。

今、各事業者からストレステストの結果が提出されようとしています(報道によれば最初は大飯3号機?)。後藤氏曰く、「もし、ストレステストを311日以前に実施していたらフクシマ事故を防ぐことは出来たのでしょうか?」。勿論、絶対に「否!」です。ストレステストは原発の安全性を確かめるものでも、ましてや高めるものでは全くありません。そのことをもっての停止中原発の再開に技術的根拠を見出すことはどうしても出来ません。

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2011年9月19日 (月)

「さようなら原発大集会」@明治公園

110919 本日、919日、大江健三郎氏らの呼びかけによる「さようなら原発大集会」が東京・明治公園で開催されました。JR千駄ヶ谷駅のプラットフォームから改札出口まで30分以上を要するという、会場にとても入りきれない人、人、人で周辺は埋まりました(主催者発表6万人)。代々木、新宿等3方面に分かれたデモもあまりの人数の多さにいつまでも出発できませんでした。家族連れや若者も多く、人々はそれぞれに工夫を凝らせたプラカード、ゼッケン等で反原発への想いをアピールしていました。この自発的で直接的な意思表明を行った多くの人々の願いを政治やマスコミは無視することがあってはならないと思います。(写真は明治公園を埋め尽くした参加者)

一方、先日(915日)、私たち「プラント技術者の会」は「原子力資料情報室(CNIC)」と共同で衆院議員会館にて「ストレステストの問題点」という院内学習会を開催しました。国会議員の出席は3名に留まりましたが、約70名の一般出席者の間では活発な議論が行われ、今、行われようとしている日本版ストレステストの多くの問題点が浮き彫りにされました。

当日使用された資料は以下のURLから見ることが出来ます。

http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=1193

日本版ストレステスト計画は、EUのストレステスト仕様書をベースとしながらも多くの意図的かつ悪質な改ざんが随所に見られます(詳細は上記資料をご覧ください)。このことは、当局にフクシマ事故の当該国としての真摯な反省や危機感、そして国民に対する誠実さというものが全く欠如していることを示しています。この結果をもって原発の安全性を担保出来るもので全くはありません。ストレステストを巡っては、これから当局とのせめぎ合いが始まります。私たちは技術的側面から、その不備や不当性をいっそう明らかにしていきたいと思っています。

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2011年8月 6日 (土)

ヒロシマと東海村

110731pp 66年前の今日はヒロシマに原爆を落とされた日です。以来、核廃絶は、国籍やその所有の有無を超えて、地球上の全ての人類にとっての悲願だと思います。

ところで・・・・、

“Nuclear Weapon”といえば「核兵器」ですが、”Nuclear Power Plant”といえば「原子力発電所」・・・・。これって、同じ”Nuclear”なのに、意図的に使い分けられていませんか?日本で原子力発電所を導入する際に「核発電所」では抵抗が大きいことが予想され、見事な「意訳」が行われました。しかし、実際に核分裂反応を利用する原理は全く同じです。元はといえば発電目的ではなく、原爆材料を作り出すために核開発は始まりました。米国のオークリッジ(テネシー州)のウラン濃縮工場で大量の濃縮ウランが製造されてヒロシマ型原爆が製造され、ハンフォード(ワシントン州)の原子炉と再処理工場では大量のプルトニウム型原爆が製造されてナガサキに落とされました。一方、世界で初の実用原子力発電所は1954年にソ連で完成されたと言われています(米国では1957年)。

肥田舜太郎/鎌仲ひとみ両氏の共著による「内部被曝の脅威」(ちくま新書)によると、ハンフォード(現在は閉鎖)では25,000発分の核弾頭をまかなえるプルトニウムが生産され、周辺に放出された放射性物質の総量はスリーマイル事故の一万倍に相当するとのことです(1987年米国政府報告書)。またアリゾナ州で行われた大気圏内核実験は1945年以降、実に1,200回に及び、広範囲の放射能汚染を引き起こしました。広瀬隆氏の名著「ジョン・ウェインはなぜ死んだか?」(1982年)という本には当時の多くの西部劇映画の撮影がネヴァダやユタの汚染地域で行われていたこととの因果関係が語られています。

こうして、米国はすでに核開発を進めた時から世界で最初の被曝大国となっていたのです。1945年以降、1989年までの世界での核関連の研究者や労働者、周辺住民の被曝死亡者はICRPでは117万人、ECRRでは内部被曝を考慮して実に6,160万人と算出しています。その後も米国は、イラク住民や米国兵士に劣化ウラン弾での被曝犠牲者を続出させています。このことに米国民はもっと気付くべきです。また、原発と核問題の関連性がもっと語られて良いと思います。

ところで、先週の日曜日に茨城県東海村に出かけ、「アトムワールド」、「東海テラパーク」、「原子力科学館」の3つのPR館を巡ってきました。やはり「百聞は一見にしかず」ですね。基本的には子供だまし的な施設群ですが、実寸の燃料棒、キャスクやガラス固化模型、JCO事故の装置、放射線医療原理などを興味深く眺め、分かり易い解説が掲載されている無料配布の各種パンフレットはそれなりに勉強になりました。相手の懐に飛び込み、安全神話の虚構を内側から観察することも無駄ではありませんでした。

上の写真は敷地に隣接しているテラパークから撮った東海第一、第二発電所です。向こう側の第一は1998年に運転が終了し廃炉手続き中です。燃料棒は搬出したものの、2013年度まで監視管理(要は作業が可能になるまでの放射能減衰期間)を続けてから解体作業に入るとのことです。運転終了後20年間をかけた長期工事となるのです。正常に終焉した原発でさえ20年間ですからフクシマ解体にはどの位の期間がかかるのでしょうか?50年?100年?その間、周辺汚染と被曝労働が継続するということです。事故の後遺症の重みを改めて感じさせます。

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