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2018年3月11日 (日)

オッフェンバック『ホフマン物語』 @新国立劇場

2013_hoffmann_05_aek2510_fixw_730_2年に一度の生オペラ、今回は大好物(?)のひとつ、『ホフマン物語』でした(310日、新国立劇場「新国」)。音楽も舞台も素晴らしい出来栄えで、この極上のエンターテイメント作品を大いに楽しむことが出来ました。

同演出(2013年公演)のダイジェスト映像は以下で観ることが出来ます。

https://www.youtube.com/watch?v=gRdJQ4blx2E

先ず、演出のフィリップ・アルローによる鮮やかな舞台色彩に目を奪われます。第2幕では人形オランピアのコミカルな動きに合わせて、蛍光塗料に身を包んだ合唱団にも一斉に同じ動きをさせるという鮮やかで遊び心満載の洒落た演出に会場が幸福な笑いに包まれていました(写真上)。第3幕ではうって変わって静謐で幾何学的舞台装置と暗い照明で物語の悲劇性を浮き彫りにし、第4幕ではグランドオペラに相応しい豪華な舞台装置と色彩、衣装が音の洪水と相俟って、この作品のゴージャスさをいっそう引き立てていました。物語に沿った幕場ごとの対比が実に鮮やかでした。なお、アルローは以前のR・シュトラウスの『アラベッラ』(2014年新国)でも演出を手掛けており、この時も深い青色を基調とした美しい舞台を見せてくれていました。

もう一つの嬉しい驚きは、3つの物語でそれぞれヒロイン役を演じる、安井陽子(オランピア)、砂川涼子(アントニア)、横山恵子(ジュリエッタ)の3人が素晴らしかったことです。通常、主役級には外国人歌手を招聘する新国ですが、この3人は堂々とした舞台姿に加えて、歌唱、演技も申し分がないものでした。主役ホフマン(D・コルチャック)の伸びのある美しいテノールに対等にわたり合っていました。しばしば新国の舞台に登場する森麻季さんら数人を除いて、日本人ソプラノたちについての知見は殆どないのですが、若く有望な彼女たちの将来には大いに期待です。

ラストにホフマンが自死してしまう演出には驚きました(ネタバレご容赦)。詩人としての再生の物語として捉えていたのですが・・・。オペラ作品には、演出家次第で生死を分けてしまうものが幾つかありますが、この作品もその一つだったのですね、

以前、メトロポリタンのライブビューイングで観た「ホフマン物語(2009年版)」の感想は以下です。

http://kawai0925.cocolog-nifty.com/yasu47/2010/01/met-1078.html

バートレット・シャーの演出は同様に色彩的で豪華、メトの音も贅沢です。好みで言えば、オランピアは新国の安井陽子、ニクラウスはMETのケイト・リンジーの勝ちでしょうか。

今回の舞台はぜひBSで放映してもらえたらいいですね。もう一度観たい作品です。

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