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2014年11月30日 (日)

映画『三里塚に生きる』

映画『三里塚に生きる』を観てきました(作品の公式サイトは以下)。J_top_c_2

http://sanrizukaniikiru.com/

懐かしい風景、懐かしい匂い、懐かしい人々・・・。しかし、そこには今も日々、空港と向き合い、苦闘している人たちがいました。

昔の映像を挟み込みながら空港周辺で、かつて、あるいは今も闘いを続けている反対同盟員の姿を淡々と描いています。メッセージ性や押しつけがましさは全くありません。彼らの今を語る穏やかな会話の合間に、無雑作に乱入してくる航空機の爆音が作品の現実性を高めています。

私が最初に三里塚を訪れたのは1970年でした。現地での闘いに呼応して、地元の千葉市を通過するジェット燃料輸送パイプラインの敷設に反対する市民運動に関わっていました。結局、パイプラインは強行埋設されるのですが、今では供与年数も40年を超えようとしており、老朽化も懸念されます。現地では、1978年の開港を機に運動も転機を迎え、青年行動隊のメンバーを中心に有機農業を含めた新しい農業のやり方が模索されます。有志による三里塚ワンパック運動(無農薬野菜の共同生産・共同購入)もそのひとつで、消費者側の拠点の一つとして関わることになりました。

時は過ぎて、私にとっても日常の多忙さや度重なる長期海外出張に、三里塚は次第に遠くなっていきます。いつの間にか、成田空港を使うたびに感じていた眼下の人々への想いも忘れ、三里塚は過去の物語になり、現地を含めた仲間たちとは年賀状のやりとりとたまの消息交換に終わっていました。

そんな時にこの映画の存在を知ります。映画を観る視点や観た後の感じ方は世代、そして運動への関わりの仕方によって大きく異なるでしょう。ともすれば情緒的なノスタルジーだけで終わってしまいそうですが、少し以前に感銘を受けた小泉英政さんの『土と生きる~循環農場から』(2013.9岩波新書)と共鳴するところも多々あり、三里塚に今も生きる個々人の物語の重さに深い共感と尊敬の念を覚えました。

巨大旅客機が40メートル上空で爆音を響かせながら離着陸するB滑走路脇では、周囲を空港敷地に囲まれた東峰部落の飛び地と天神峰地区の一部で、今でも移転を拒否する数軒の農家が農業を続けながら生活しています。ワンパック運動の拠点であった共同出荷場や毎年、収穫祭が賑やかに行われた広場は、すでにありませんが、子供たちを連れて何度も援農に通った石井恒司さんの畑、小泉英政さんが試みる循環農場は今もそこに存在しています。

長い時を経て再び、三里塚をめぐる人々とその時代に想いを馳せる機会を与えてくれたこの映画に感謝です。映画は、1219日まで渋谷ユーロスペースにて上映し、その後、順次全国で公開されるとのことです。ぜひ、ご覧下さい。

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