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2014年3月 8日 (土)

映画『シェーナウの想い』

6871335744_d6e8738105 遅れ馳せながら、映画『シェーナウの想い』を観る機会がありました(「生活クラブ虹の街」主催)。人口たった2500人の小さな村の脱原発運動からから始まった市民電力事業が、ついには全国規模の自然エネルギー電力供給会社へと発展していく様子を描いた60分ほどのドキュメンタリー映画です。ドイツ南西部の「黒い森」地方の自然は美しく、人々は優しく穏やかです。この平和な村の人々が1986年のチェルノブイリ事故をきっかけに、原発に頼らない市民電力運動を開始し、真っ二つに割れた住民投票、電力独占企業(KWR)との交渉、資金不足といった多くの困難と闘いながらも1997年に独自の電力供給会社(EWS)を設立します。

ドイツでは翌年の1998年に電力事業の全面自由化が達成されます。ドイツ国民は、どこに住んでいても電力会社を自由に選択できるようになりました。全ての市民は、その電気の「素性(原子力、火力、水力、風力、太陽光などによる発電比率)」を比較しながら、電力会社を選ぶことが出来るのです。このことが、ドイツにおける再生可能エネルギー比率の押し上げと、2022年までの原発廃止決定に大きく寄与しています。

一方、日本における電力事業の完全自由化はまだまだ途上です(早ければ、2018年度より発送電の法的分離?)。ドイツよりも20年は遅れていることになります。独占による電力支配が多くの利権構造や腐敗、安全神話を産み、ひいては、フクシマ原発震災事故の背景となったことは否めません。私たちは、私たち自身の安全と利益のために、もっともっと賢くなる必要がありますね。

私もドイツのヴィスバーデンに1年半ほど滞在しました。週末毎に訪れた小さくて美しい村々の風景が甦ってきます。丘陵地帯のあちこちに建つ巨大風車の姿が印象的でした。堅実な国民性にもたびたび感銘を受けました。省エネ・電力事業の先進国であり、何よりも「エネルギー供給に関する倫理委員会」の提言によって原発ゼロの方向性が決めたこの国の叡智には多くのことが学べそうです。この映画もその一端を私たちに教えてくれます。お奨めです。

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コメント

ドイツは福島原発事故を教訓にして、自国で事故を起こしていないにも関わらず、それまでの原発維持から脱原発を決定した国である。我が国と比べると何から何まで進化した国であることが羨ましい限り。日本は何時になったら、ドイツのような国になれるのか?
一国民としてもっと賢くならなければならないと思う。

投稿: K.Shimojima | 2014年12月 8日 (月) 22時50分

霜島さん、コメントありがとうございます。その通りだと思います。今週末の選挙でも世論の多数の想いが投票結果に反映されないだろうことに歯がゆさを覚えます。

投稿: YASU47 | 2014年12月 9日 (火) 09時45分

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