« 2011年9月 | トップページ | 2011年11月 »

2011年10月26日 (水)

フクシマ事故はどのように起こったのか?@議員会館

Dsc_0045 檀上に並んだ方々をご存じでしょうか?向かって左から田中三彦氏、渡辺敦雄氏、後藤政志氏の3名で、かつて原発機器製造メーカーに勤務し、実際に格納容器の設計に携わった技術者の皆さんです。すでに著書や雑誌掲載記事、TV出演等でご存じの方も多いかと思われます。この御三方が本日(1026日)、衆院議員会館にて『政府・東電の福島第一原発事故批判 何故地震の可能性を排除するのか』という報告会を行いました(主催者は民主党の川内博史議員)。

それぞれ、「地震動による冷却材喪失事故の可能性検討」、「原子炉格納容器における水力学的動荷重」、「地震で圧力抑制機能が失われる可能性」という何やら学会発表のようなタイトルが並びましたが、図表やシミュレーション映像などを駆使し、出席された議員や多くの市民参加者にとっても実に分かり易い丁寧な説明でした。

要は、政府・東電が主張する「フクシマは津波でやられたのだから、防波堤などの津波対策を強化すれば他の原発は安全だ」という見解に大きく疑問を投げかけるものです。とりわけ、地震動による配管破損と冷却材の喪失の可能性、福島等の初期原発に採用されているMark-I型の欠陥、低周波地震動による圧力抑制室プールのスロッシングによる破壊の可能性などは、地震列島に建設された原発の宿命として徹底的に検証されねばならない問題です。本来ならば破損したフクシマのそれらの部材の診断と検査が必要ですが、恐らく10年以上にわたって近づくことも出来ないでしょう。事故の真の原因はまだ闇の中なのです。

今、各事業者からストレステストの結果が提出されようとしています(報道によれば最初は大飯3号機?)。後藤氏曰く、「もし、ストレステストを311日以前に実施していたらフクシマ事故を防ぐことは出来たのでしょうか?」。勿論、絶対に「否!」です。ストレステストは原発の安全性を確かめるものでも、ましてや高めるものでは全くありません。そのことをもっての停止中原発の再開に技術的根拠を見出すことはどうしても出来ません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月18日 (火)

真紅の丘@ひたち海浜公園

111017cochia 丘一面を真紅に染めているものが何ものかをご存知でしょうか?

これは茨城県の国立ひたち海浜公園で見ごろを迎えているコキア群生の紅葉です。空の青さ、麓のコスモスと共に見事な秋の風景を造りだしています。

コキアというのはこれまで馴染みはありませんでしたが、別名ホウキ草と呼ばれる一年草とのことです。そういえば道端などでもたまに見かけることはありますが、ここまで大規模に植栽され、それが一斉に紅葉する姿は圧巻です。

公園には平日だというのに年配者や家族連れを中心に多くの人々が訪れていました。15千平方メートルの敷地に約3万本のコキアが植えられていて、勿論日本一の規模とのことです。見ごろは週末頃までとのことです。良いものを見ました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月12日 (水)

R・シュトラウス『サロメ』@新国立劇場

111009 久しぶりのオペラはR・シュトラウスの「サロメ」です(109@新国立劇場)。この作品については過去にも書いています(「サロメ・驚異の音楽劇」、「オスカー・ワイルドの戯曲サロメ」)。これまで、CDDVDなどではすっかりお馴染みの大好きな作品ですが実演を見るは初めてのことでした。

舞台はバイエルン州立歌劇場から移設された奇をてらうことのないオーソドックスな演出ということで安心して音楽劇に集中できました。しかし、細かいところでは、顔を青く塗りたくったブルーマンのような奴隷(?)や銃を抱えた兵士、小賢しい演技をする脇役などのように凝り過ぎて逆効果の場面も見られます。不気味な満月の下で展開する前半が濃紺、退廃を帯びた宴の中で展開する後半がピンクという舞台色は鮮やかで分かり易い対比でした。

タイトルロールのエリカ・ズンネガルド(S)はこの役で定評があるということでしたが、たびたび声がオケの中に埋もれていました。もともと、このサロメというのは至難の役柄です。R・シュトラウスは劇的効果のためにドラマティック・ソプラノをこの役にあてがい、演出上では七つのベールの踊りをこなし、しかも16歳の王女の高貴、自尊心、好奇心、執着心、そして狂気を演じねばならないのです。ズンデガルドは年令の壁はいかんともし難いとしても演技力や身のこなしは観客を十分に満足させるものでした。しかし、ドラマティック・ソプラノと呼ぶにはあきらかに声量が不足していました。一方で当夜の東フィルがあまりにも元気が良すぎたことによりそのことが一層目立ってしまったのかもしれません。

その他の主演者ではS・マックアリスター(T)は道化役としてのヘロデを見事に歌い、演じきっていました。ヨハナーン役のJ・ウェーグナー(Br)は少し不安定だったような気がします。ズンデガルドの出来、オケとのバランスなども含めて初日独特の瑕疵だったのかもしれません。

これで、新国のR・シュトラウスは「ばらの騎士」、「アラベラ」に続き3本目になりますが、前2作の絢爛と洗練、洒落の世界とは全く別の、若きシュトラウスのほとばしるような音楽の力に圧倒されます。これからも舞台や映像で何度も体験を重ねたい作品です。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

« 2011年9月 | トップページ | 2011年11月 »