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2011年8月 6日 (土)

ヒロシマと東海村

110731pp 66年前の今日はヒロシマに原爆を落とされた日です。以来、核廃絶は、国籍やその所有の有無を超えて、地球上の全ての人類にとっての悲願だと思います。

ところで・・・・、

“Nuclear Weapon”といえば「核兵器」ですが、”Nuclear Power Plant”といえば「原子力発電所」・・・・。これって、同じ”Nuclear”なのに、意図的に使い分けられていませんか?日本で原子力発電所を導入する際に「核発電所」では抵抗が大きいことが予想され、見事な「意訳」が行われました。しかし、実際に核分裂反応を利用する原理は全く同じです。元はといえば発電目的ではなく、原爆材料を作り出すために核開発は始まりました。米国のオークリッジ(テネシー州)のウラン濃縮工場で大量の濃縮ウランが製造されてヒロシマ型原爆が製造され、ハンフォード(ワシントン州)の原子炉と再処理工場では大量のプルトニウム型原爆が製造されてナガサキに落とされました。一方、世界で初の実用原子力発電所は1954年にソ連で完成されたと言われています(米国では1957年)。

肥田舜太郎/鎌仲ひとみ両氏の共著による「内部被曝の脅威」(ちくま新書)によると、ハンフォード(現在は閉鎖)では25,000発分の核弾頭をまかなえるプルトニウムが生産され、周辺に放出された放射性物質の総量はスリーマイル事故の一万倍に相当するとのことです(1987年米国政府報告書)。またアリゾナ州で行われた大気圏内核実験は1945年以降、実に1,200回に及び、広範囲の放射能汚染を引き起こしました。広瀬隆氏の名著「ジョン・ウェインはなぜ死んだか?」(1982年)という本には当時の多くの西部劇映画の撮影がネヴァダやユタの汚染地域で行われていたこととの因果関係が語られています。

こうして、米国はすでに核開発を進めた時から世界で最初の被曝大国となっていたのです。1945年以降、1989年までの世界での核関連の研究者や労働者、周辺住民の被曝死亡者はICRPでは117万人、ECRRでは内部被曝を考慮して実に6,160万人と算出しています。その後も米国は、イラク住民や米国兵士に劣化ウラン弾での被曝犠牲者を続出させています。このことに米国民はもっと気付くべきです。また、原発と核問題の関連性がもっと語られて良いと思います。

ところで、先週の日曜日に茨城県東海村に出かけ、「アトムワールド」、「東海テラパーク」、「原子力科学館」の3つのPR館を巡ってきました。やはり「百聞は一見にしかず」ですね。基本的には子供だまし的な施設群ですが、実寸の燃料棒、キャスクやガラス固化模型、JCO事故の装置、放射線医療原理などを興味深く眺め、分かり易い解説が掲載されている無料配布の各種パンフレットはそれなりに勉強になりました。相手の懐に飛び込み、安全神話の虚構を内側から観察することも無駄ではありませんでした。

上の写真は敷地に隣接しているテラパークから撮った東海第一、第二発電所です。向こう側の第一は1998年に運転が終了し廃炉手続き中です。燃料棒は搬出したものの、2013年度まで監視管理(要は作業が可能になるまでの放射能減衰期間)を続けてから解体作業に入るとのことです。運転終了後20年間をかけた長期工事となるのです。正常に終焉した原発でさえ20年間ですからフクシマ解体にはどの位の期間がかかるのでしょうか?50年?100年?その間、周辺汚染と被曝労働が継続するということです。事故の後遺症の重みを改めて感じさせます。

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コメント

拝読させていただき、とっても勉強になりました。

投稿: | 2011年8月 6日 (土) 14時12分

一連の記事、専門的なことは全然わかりませんが、同感です。首相についてはなんだか反発が多いようですが、少なくとも原子力発電に関することは、抵抗の強い中、精一杯なのでしょう。とにかく原発をやめるという方向で進んでほしいです。首相がかわったらどうなるのか心配です。

原爆と原発は関係ないと言う人も少なくないようですけど、要するに同じもの。これが意図的にごまかかされてきたように思います。

>「核発電所」
震災後、たまたま韓国、中国からの学生が多く、韓国でも中国でも「核発電」と言うということを知りました。原子力発電という名称にはやはり核兵器との関連を隠そうという意図があったのですね・・

投稿: edc | 2011年8月 9日 (火) 20時39分

edcさん、
菅さんの長期政権が望めなくなってしまった今、どうにかして戻ることの出来ない脱原発への道筋をつけてもらいたいものです。

中国、韓国で「核発電」というのは初めて知りました。まぁ、同じNuclearですから、その方が当たり前ですよね。
今、特に恐ろしいのはロシアの老朽化した原発(核発)です。いったい、どこまで犠牲者、被害舎が増えれば、人間は核の利用を断念するのでしょうか?

投稿: YASU47 | 2011年8月 9日 (火) 22時30分

アメリカも被ばく国とは考えたこともありませんでした。(今まで実はなにも考えてなかったのですが((笑)
東海村解体に向かっているとはいえ、こんなに時間がかかるのというか、まだなんですね。びっくりしました。ところで廃棄物がリサイクルでベンチや机に生まれ変わって、PR館にあるらしいのですが、ご覧になりましたか?福島の廃材もどうなるのか心配です。東海発電所解体347億円廃棄物処理538億円と何かにでてました。1基でもこんなにお金がかかってすごいですね。

投稿: まめ | 2011年8月26日 (金) 03時42分

まめさん、
そうなんです。アメリカはれっきとした被曝大国なのですが、被害者を除いて殆どの米国民にその自覚はないでしょうが・・・。
福島の廃材がリサイクルに使用できるかどうかの判断hまだ先になるでしょうね。汚染物質が放射性セシウムならば半減期30年ですが、周辺では半減期2.4万年のプルトニウムも放出・検知されています。通常の廃炉処理を遥かに超えた困難さが待ち構えています。

投稿: YASU47 | 2011年8月26日 (金) 10時04分

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