« 2011年6月 | トップページ | 2011年8月 »

2011年7月26日 (火)

ストレステスト

110724stress_test_3 玄海原発の再開を巡ってストレステストの導入が言われてからすでに数週間が経過しようとしていますが、いったい、誰が、どのように、何を実施するのか、また、どのように評価し、公開されるのか、相変わらずその手順と中身は曖昧なままです。このままではストレステストが却って玄海等再開の補完手段として使われるのではと強く懸念されます。そんな時、先行しているEUにおけるストレステスト手順が掲載された以下のURLを仲間から紹介されました。

http://ec.europa.eu/energy/nuclear/safety/doc/20110525_eu_stress_tests_specifications.pdf

日本におけるストレステスト手法が全く闇の中という状況の中で、このヨーロッパ(EU)の手順書は定性的とはいえ、技術的には広範囲を網羅し、手順に関してもかなり具体的なイメージを与えてくれます。要はSevere Accident時(Consequentialな各種機能損失も含む)に、設計条件(想定条件)を超えてどの位のSafety Marginがあるかを検証しなさい、またそれに付随する前提や対応環境を明確にしなさいということですが、特に強調されているのが、透明性(Transparency)と公開性(Openness)の原則です。

ここでは、LicenseePlant Owner)によるReport10/Eまで)、各国のAuthorityによるReport12/Eまで)、EU専門家によるPeer Review(来年4/Eまで)という3段階のプロセスが設定されていますが、透明性と公開性の導入によってこそ、レポートの信頼性(Credibility)と説得性(Accountability)が得られるという考え方です。

日本の場合、このままでは当局によって都合の良い手順が決められ、シュミレーション条件を勝手にいじられ、原子力安全・保安院や原子力安全委員会の筋書き通りのレポートになりかねません。本EUの手順書もすでに525日に公開されていますが、日本の当局者は勿論のこと、のマスコミによってもその内容が具体的に採り上げられたという形跡がありません。マスコミにとって最も重要な透明性と公開性の問題を孕んでいるにも拘わらずです。これでは、怠慢と言われても仕方がないでしょう。あるいは意図的なものが働いているのでしょうか?

皆さんにも一読していただき(英文でちょっと面倒ですが)、日本で行われようとしているストレステストを形式化、形骸化させないためにも、最低限、ヨーロッパに倣った透明性と公開義務の確保を求めていきましょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年7月13日 (水)

「脱原発依存」の表明 by菅首相

110713 梅雨の季節から続く猛暑を言い訳にblogの更新もすっかり怠っていました。フクシマと原発関連の記事だけは辛うじて追いかけています。

今日は菅首相の「脱原発依存」会見がありました。ん?「反原発」でも「脱原発」でもなく、「脱原発依存」というヌルさは感じますが、今の首相の置かれている状況を考えれば精一杯の発言なのかもしれません。多くの提案や行動が後手に回り、それぞれが余計な憶測や政治の混乱を招きながらも、浜岡を止め、玄海の再稼働をストップさせ、世論の後追いとはいえ、為政者の代表として「脱原発」を宣言した菅首相の功績は評価したいと思います。

ただし一方で、浜岡は津波対策を条件とし、玄海はストレステストを条件とし、今回の脱原発発言の実現時期や工程は見えないままです。3.11を契機に日本社会全体が脱原発の方向に大きく舵を切り替えようとはしているものの、そのことはまだ端緒に過ぎず、現実に、日本列島の上には稼働中、停止中、試運転中も含めて54基の原発と、2基の高速増殖炉、2か所の燃料再処理設備、1か所の高レベル廃棄物処理設備と貯蔵設備を抱えており、これらを一つづつ確実に葬り去るまでには、大きな努力と労力を必要とします。加えて、フクシマ一つをとってみても安全な収束への見込みがついたものとはとても言えず、被災地からの避難や現場での被曝労働は今後も数十年にわたって続くことになります。

更に今後は「原子力村」や既得権益団体、人間の生存権よりも経済効率を優先する産業界、政局のみで動く反対派等々からの揺り戻しが考えられる中、今回の首相発言等に一喜一憂することなく、着実な世論と運動の形成を図っていく必要があります。

私事になりますが、長らく関わってきたプラントエンジニアリングを共通基盤とした脱原発運動体を作ろうとしています。私たちが関わってきたのは原発ではなく、主にエネルギーや化学プラントですが原発との共通点も多く、知見、経験をベースにしたメッセージの発信と共に、一市民としての責務も果たしていければと考えています。この分野での賛同者がいらっしゃいましたらメールにてご連絡下さい。

| | コメント (7) | トラックバック (0)

« 2011年6月 | トップページ | 2011年8月 »