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2011年5月25日 (水)

「成川美術館」 @元箱根

110525 御殿場方面へ出かけた帰路、芦ノ湖畔に建つ「成川美術館」に寄ってきました。天気にも恵まれ、展望ラウンジから眼下に広がる芦ノ湖、周りの新緑、右手の駒ケ岳、真正面にそびえる富士山の眺めは素晴らしいものでした。

展示物は主に現代日本画です。コレクションは4000点を越えると言われていますが、実際に展示されているのはスペースの関係でしょうか、残念ながらほんの一部です。例えば、平山郁夫画伯の作品は素描も含めて40点ほど所蔵しているとのことですが、展示されているのは1点だけでした。

それでも、日本画独特の岩絵具の醸し出す柔らかさ、花鳥風月を主題材としながらも、そこから発展させた現代的な斬新さ等々を十分に楽しむことが出来ます。例えば右上の絵、企画展示中の堀文子女史の描いた「トスカーナのひまわり畑」(1990年)はこれまでの日本画のイメージを大きく変える大胆な構図と色彩で観る者の目を引きつけます。

その他にも、それぞれが伝統工芸である鋳金と漆芸を融合した小杉拓也氏による作品群、様々の画家たちによる柔らかいタッチの風景画群などが印象に残りました。

この地域には個性的で洒落た美術館が多くありますね。前回は「ガラスの森美術館」、今回は「成川美術館」を訪れました。さて次回は印象派を中心とした「ポーラ美術館」あるいはアール・ヌーヴォー工芸の「ラリック美術館」のどちらにしようかな?

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2011年5月19日 (木)

『カプリッチョ』@METライブビューイング

110518capriccio_2 前回に続いてまたもMETライブビューイングの記事になってしまいましたがご勘弁下さい。今回はR・シュトラウスの最後の一幕のオペラ作品『カプリッチョ』です。

しかし、これほどまでにメリハリのないオペラ作品というのも珍しいでしょう。それも一幕通しで141分間にわたって「感動させるのは言葉(詩)か音楽か?」という、ある意味どうでもよい会話劇が延々と続くのです。もっとも、そこはR・シュトラウス、途中で嫌気のさした登場人物(舞台演出家役)にたしなめさせたり、バレエや道化風のソプラノ・テノール二重唱を効果的に挟みこんだりして、全体を緊張感の欠如による破綻から救っています。

最初のインタビューで主役のルネ・フレミングが「R・シュトラウスが非ドイツ的、かつ全く社会性のないこの作品を創ったのはナチに対する抵抗だった」と述べていました。ちなみに、この作品が初演されたのはミュンヘンの劇場で1942年、作曲家たちが国家への貢献を求められていた時代でした。シュトラウスはこのノー天気な作品を発表することで彼なりの主張を行ったのでしょうか?

作品は地味でもそこはやはりR・シュトラウス作品です。最大の聴きどころは最後の女主人公マドレーヌによる独白シーンでしょう。官能的な管弦楽の響きと競い合うルネ・フレミングの特徴ある少しポップな歌唱はまさに彼女の真骨頂ともいえる場面です。手元には2004年、パリ・オペラ座の映像(R・カーセン演出)があります。年を重ねた7年後の舞台の方が溌剌と見えるから不思議です。前にインタビューで「今後はシュトラウスをレパートリーの中心にしたい」と言っていたフレミングはこれからもマルシャリン、アラベラ、マドレーヌの第一人者として舞台に立ち続けるのでしょうか?

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2011年5月11日 (水)

『オリー伯爵』@METライブビューイング

110511comteory 仕事帰り、久しぶりにMETライブビューイングに出かけました。今回は1828年に初演されたロッシーニの喜劇『オリー伯爵』です。あまり上演機会に恵まれた作品ではありませんが「セビリアの理髪師」や「チェネントラ」など他のロッシーニ喜劇と同様に美しい旋律と活き活きとしたリズムに溢れた作品です。物語は放蕩貴族のオリー伯爵が女伯爵アデルに横恋慕した挙句、仲間たちと尼僧に変装して彼女の城に忍び込むという他愛のないナンセンス・コメディですが、使われている音楽は素晴らしいものです。耳にしたことのある旋律が多いと思っていたら、それらは1825年に初演され、最近は上演機会も多い『ランスへの旅』から採られているとのことでした。

Bシャーによる演出は明るく色彩的な舞台と衣裳に加え、各所で遊び心に溢れています。出演者たちにも軽妙な演技と表情を課すことによってとてもスピーディで洒落たコメディ劇を創り上げました。出演者たちもそれによく応えています。

タイトル・ロールのファン・ディゴ・フローレス(T)の声の素晴らしさについてはもはや言うことはないでしょう。彼のアリアにはただうっとりと聞き惚れるだけです。加えて好色家のオリーを軽妙に演じては会場の笑いを何度も誘います。アデル役のディアナ・ダムラウ(S)とイゾリエ役(ズボン役)のジョイス・ディドナート(MS)も大好演です。ディドナートはすでにロジーナやチェネレントラでロッシーニ・ヒロインとしてお馴染みです。この3人による第2幕の三重唱は実に美しく官能的でした(場面としては夜這いの鉢合わせという実に笑えるシチュエーションですが・・・)。かくして。絶妙のベルカントとロッシーニクレッシェンドをたっぷりと楽しんだひと時となりました。

さて、来シーズン(2011-2012)のラインアップ11演目が発表されました。まずはネトレプコとガランチャが共演する第1作、ドニゼッティ「アンナ・ポレーナ」からして見逃せませんが(やっぱり美形好き?)、目玉はやはり今シーズンに続くワーグナーの指輪の完結2作品(「ジークフリート」と「神々の黄昏」でしょう。

その今シーズンは例年に比べて回数は減っていますが、残る3作品のうち少なくとも「カプリッチョ」と「ワルキューレ」は見逃したくないと思っています。

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