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2011年3月26日 (土)

暗闇から憂う

110325_2 大地震と津波から2週間が過ぎました。被害と犠牲者の全貌はまだ掴めないとのことです。映像を通じて被災された方々の置かれた状況と心情を思うと心が痛むばかりです。

昨夜は計画停電が実施されました(第二グループ)。晩の6時過ぎからの開始ということで早目の夕食を採った後はラジオとMobile PCで暗闇に備えました。被災地や避難所でのご苦労に比べたら、こんなものは不便のうちに入りません。

揺れる蝋燭の炎を見つめながら、改めて原発の恐ろしさに思いは至ります。過去数十年、多くの警鐘にも拘わらず原発は建設され続け、今はもはや後戻りの出来ない地点まで来てしまいました。そして今、責任問題はさておくとして、私たちに出来ることは福島原発の敷地内で行われている壮絶な戦いを祈るように見つめることだけです。昨日は3号機タービン建屋で3名の作業員被爆者が出てしまいした。今後の気の遠くなるような作業工程を考えると更に消防、警察、自衛隊を含めた作業員たちに犠牲が出ることは避けられないでしょう。大規模溶融あるいは水蒸気爆発が一つの号機で生じることによる敷地内作業員全員の避難は第二原発を含めた全機の破壊に繋がります。その場合の放射性物質の飛散と拡散被害がどこまで広がるのかは想像出来ませんし、したくもないというのが本音です。

TVに登場する御用学者たちは口を開けば「まだ安全だ」を繰り返していますが、却って視聴者に疑念と不信感を与えているように思います。まだ安全だと「思いたい」私たちの心理が辛うじて平衡を保っているという気がします。

以下は、これまで反原発の立場から発言を繰り返してきた学者や評論家の見解です。

(1)神戸大学石橋教授の20052月、衆院予算委員会公聴会での発言

6年前ですが。近々発生が予測されている東海地震と大津波による静岡県の浜岡原発破壊のシナリオと警鐘です(とても分かり易い)。先に発生してしまったのが福島でしたが本質は同じです。前々から危険が叫ばれている浜岡原発は即時全機停止(3号機は定期点検中ですが4月に再開予定)とすべきではないでしょうか。

(2)広瀬隆氏、317日のCS「朝日ニュースター」でのインタビュー映像(3回)

1970年代の「東京に原発を」の著者、広瀬隆氏のインタビューは御用学者たちの見解をバッサリと切りながら最悪シナリオを述べています。これを聞くのにはかなりの覚悟を必要とします。ただ、個人的には、福島の原発を直ちにコンクリートで固めろという意見には賛成しかねます。発生する崩壊熱を処理出来なくなるからです。1957年に発生し、旧ソ連が隠し続けたチェリャビンスクでの埋設あるいは貯蔵核廃棄物の爆発事故(今は「ウラルの核惨事」として知られている)の二の舞を恐れます。

これらの発言の紹介は決して恐怖心を煽ることが真意ではありません。近未来への警鐘に加えて、私たちには事実を知る権利があることと、政府とマスコミにはその事実を報道してもらいたいのです。

その政府発表と報道に関して、とても不可解なことが一つあります。福島原発3号機にはMOX燃料が使用されているという事実がなぜ語られないのでしょうか(3月25日現在)MOX燃料とは再処理工場で得られたプルトニウムをウランに混合した燃料で所謂プルサーマル発電の一環をなすものです(国内では玄海、伊方、高浜、福島の4箇所)。3号機には燃料棒総数548本中、32本のMOX燃料棒が装填されているとのことです。プルトニウムは毒性が強く、中性子の発生量が多いことから、飛散事故の際には通常のウラン燃料と比べて遥かに大きな被害が予測されます。プルトニウムはどうせ燃焼後に数パーセント生成されるのだから同じじゃないかという意見もあるでしょうが、最初から発生エネルギーの最大化を狙って装填されているのとは大違いです。きっちりとした説明がないと、アメリカが避難地域を80Kmにしているのは、このプルサーマルが理由ではないかとさえ疑ってしまいます。

こうして今日も、一方で様々の悲観的観測に捉われながらも、放射線に身を晒しながら昼夜をわけずに困難な作業を続ける現地の皆さんの勇気と献身に感動しながら、祈るような気持ちで各号機の進捗に希望を繋いでいるのです。

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コメント

きょうは平塚9条の会主催の天木直人さんの講演会に行ってきます。

投稿: carry | 2011年3月26日 (土) 08時08分

carryさん、
この状況下で何が話されるのでしょうか?地震、津波、原発、リビアといった大事件の陰で着々と進む新防衛大綱の実現といった話題でしょうか?

投稿: YASU47 | 2011年3月26日 (土) 15時07分

いいお話でした。日米同盟と原発は共通の利害を持つということ、そして両者の負の部分は国民に知らされていないということ。
日米対等と日米同盟は決して両立しないということ。
そしてアメリカの弱点。それはその国の世論。彼らにとって世論は無視できないこと。・・・その世論がいまいちなのだから心配です。

投稿: carry | 2011年3月26日 (土) 22時55分

carryさん、
いかにも天木さんらしい話題でとても時宜に合っていましたね。
そう、建前上、彼らは「世論」を無視出来ないのですよね。世論さえまとまれば海兵隊は沖縄から出ていくのです。それを某前首相は途中で腰砕けになってしまって・・・。

投稿: YASU47 | 2011年3月27日 (日) 22時19分

良い資料のご紹介ありがとうございました。大前さんが言い続けてきた事とも関連ありそうです。
原発以外でもう一つ気になっていることは、50 & 60Hzの壁です。30年も50年も前から、統一するチャンスを逸したと言われ続けた可能性がありますが、何もしないで済ませたことを反省する必要がないのでしょうか?
周波数変換設備が3箇所に設置されているようですが、将来的にどれくらいの規模が必要なのか、そのあたりも知りたいところです。

投稿: ご~けん | 2011年3月28日 (月) 11時33分

ご~けんさん、
確かに周波数の差異は不便ですね。でも、今回の出来事では関西からの送電に頼らず、トコトン計画停電を実施すればと思います。そのことで、総電力消費量が減れば良いし、原発に頼ってきた電力政策の見直しになればと思います。

投稿: YASU47 | 2011年3月28日 (月) 14時03分

確かにエネルギーの使い過ぎを反省する時かもしれません。先の資料では「地震とうまく付き合う」ような表現もされていましたが、省エネ& 環境保護の観点で、必要なエネルギー量を見直さなくては、と感じました。

都会のオフイスやデパートは、あんなに明るい照明が必要なんだろうか、、とか。サマータイムの実施も検討されていると聞きましたが、ヨーロッパなどに見習う点の認識が広まってきそうです。

投稿: ご~けん | 2011年3月28日 (月) 18時38分

こんにちは。久しぶりです。

原子爆弾は絶対に怖いですけど、原子力発電については危険なものだけど、専門家がちゃんとやっているのだろうから・・と思っていました。そして、どういうものかについてはほとんど知りませんでした。今回、初体験の凄い揺れの地震で運転停止という報道にほっとしのもつかのま、こういう事態になって、おくればせながらネットでいろいろ読んでいます。

>反原発の立場から発言を繰り返してきた学者や評論家の見解
これを「恐怖心を煽るもの」と断言する人たちがいるのも知り、驚いてもいます。やはり
>これらの発言の紹介は決して恐怖心を煽ることが真意ではありません。
このように断らなければいけない状況があるのですね。

原発反対の立場の方たちによる情報を読んでも、恐怖心を煽られたりはしません。どういう立場からの情報であれ、原子力発電についていろいろ知ることは、その功罪について判断するためにも重要なことだと思います。

投稿: edc | 2011年4月 6日 (水) 18時16分

edcさん、ご無沙汰しています。
福島第一原発は収束の見通しが全くつかないばかりか新たな海洋汚染など状況は深刻化するばかりです。近隣の避難者のみならず隣県も含めて農業や漁業に携わる人たちの絶望感を思うと気持ちが沈みます。再臨界や再爆発への恐怖も消えません。1970年代から80年代にかけて加速度的に原発列島を作りあげてしまったことへの代償はいったいどこまで広がるのでしょうか?
今、本棚から1976年に出版された「原子力発電の危険性」(技術と人間編集部・編)という本を取り出して再読しています。武谷三男、星野芳郎、高木仁三郎といった当時の代表的な研究者、技術評論家たちの警鐘が活かされなかったことが残念でなりません。

投稿: YASU47 | 2011年4月 7日 (木) 11時33分

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