この夏の読書
あまりの猛暑にブログネタと更新エネルギーも干上がり、暇な時間は熱中症予防を理由に冷房を効かせた部屋でもっぱら惰眠と読書です。
読書1:百田尚樹『永遠のゼロ』(講談社文庫)
本屋の店頭に山積みとなっていました。文庫化されてからとても売れているようですね。現代の青年が、「生きて帰る」ことに執着しながらも最後は特攻に散った戦闘機乗りの祖父の足跡を追うことで戦争に向き合っていくという物語です。登場人物の類型化や平板な文章といった小さな瑕疵はあるものの、深い内容と感動に満ちた作品です。綿密な調査の成果なのでしょうか、戦闘機部隊や特攻隊に関わった人々の想いを実に丁寧に描きます。重く考えさせるテーマを平易な作品に纏め上げることで、なまじっかの反戦論文よりもよほど大きなインパクトを与えてくれます。65回目の8月を迎えようとしているこの夏に、未読の方には是非お勧めしたいと思います。
読書2:吉澤誠一郎『清朝と近代世界』(岩波新書)
「中国近現代史シリーズ」の第一巻でアヘン戦争から清朝末期に至る期間を採り上げています。岩波新書では先行して「日本近現代史シリーズ」全10巻がすでに発売されており、日本の近現代史が良心的かつ新たな視点で綴られています。中国シリーズは始まったばかりですが、中国史というと、どうしても春秋戦国、楚漢、三国時代といった古代から中世にかけての当たり障りのない歴史と英雄ロマンが興味の中心となってしまいますが、この第一巻では日本の近代史にも直接に関わる清朝末期の様々な出来事を興味深く知ることが出来ました。
読書3:浅田次郎『蒼穹の昴』(講談社)
かつてのベストセラーですが、遅れ馳せながら中国近現代史シリーズ」の第一巻に触発されて一気呵成に読みました。西太后や光緒帝、李鴻章、康有為といった歴史の表舞台に立った人物たちと、作者が生み出した梁文秀(実在の梁啓超がモデル)、宦官の李春雲(春児)といった小説の主人公たちを巧く絡ませながら物語は壮大な人間ドラマとして発展していきます。つい先日までNHKでもドラマが放映されていましたね。見損なったので再放送に期待です。尚、続編として「珍妃の井戸」、「中原の虹」がすでに発表されていますので、この夏の後半の楽しみの一つです。
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