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2010年6月30日 (水)

厚かったRound 16の壁 @W杯

100630wr16 パラグアイとの善戦も空しく日本代表はPK戦にて敗退しました。本来は90分あるいは120分内に決着を付けておくべきものであり、PK戦での敗北は責められるものではないでしょう。その意味で日本代表は120分間は善戦していたものの、ボール支配、決定機ともにパラグアイが上回っており、敗退という結果も順当なものと受け入れざるをえません。

それでもよく戦ったと思います。GK川島のたび重なるファインセーブをはじめ、全く気の抜けない緊張感に溢れた120分間でした。特に序盤、ミドルの位置でボールを失うことを恐れたのか、ロングボールを簡単に相手に渡してしまうことが気になりましたが、観戦するものを十分に満足させる試合内容でした。ましてや、両チーム共に足の止まり始めた延長の30分はどちらのチームにも勝たせたい死闘となりました。

本田選手は試合後のインタビューで、「W杯前に多くの人が批判してくれたことに感謝します。」 と述べています。穿った見方をすれば、戦前の迷走ぶりが土壇場での彼を中心としたチームへの作り替えによって彼自身の評価が急上昇したことへの感謝の言葉ともとれますが、それでも、予選リーグを突破した原動力がアジアカップとテストマッチでの岡田監督ならびにチームへの容赦のない批判であったことは間違いないことだと思います。監督とチームがよくそのことを受け入れて現実的路線への切り替えを、運も含めて成功させたものだと思います。

ともあれ、最悪、予選リーグ全敗により日本サッカーのゼロあるいはマイナスからの再出発を避けられたということは将来に向けての大きな励みとなりました。予選リーグとはいえ、W杯での「勝ち方」を知ったことは価値のある実績となります。勿論、同時に決勝トーナメント進出チームとのレベルの差が厳然と存在することも知りました。願わくば、ベスト8でのスペインとの対戦によって更にそのことを思い知ってもらいたかったものです。

残るベスト8はいずれもわくわくさせてくれるチームばかりですね。カカやメッシ、エジルたちの躍動も見たいけど、これからは、日本戦ですっかり馴染みになったパラグアイチームを一番に応援したくなりました。

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2010年6月22日 (火)

紫陽花と菖蒲 @本土寺

100622 北総花の風物詩シリーズ(?)の5回目は「あじさい寺」として名高い名刹の本土寺(松戸市)です。これまで紹介してきた印旛沼チューリップ吉高の一本桜京成バラ園佐倉のラベンダーに比べると規模的にも歴史的にも准メジャー級といえるでしょう。今、境内には一万株の紫陽花と五千株の花菖蒲が見事に咲き誇っています。

世にアジサイの名所は多く、この季節は各地の「あじさい寺」や「あじさい園」だけでなく道端に並ぶ「あじさい街道」の景観もあちこちに見られます。家々の垣根からはみ出たアジサイにも見事なものが多く、ウォーキング時の楽しみが増えています。派手さを抑えた色彩で今のような梅雨空につつましく映える姿がいいですね。しかし、ガクアジサイの場合、花びらに見える部分は装飾で本来の花弁は中心部に目立たないように潜んでいること(セイヨウアジサイは全てが装飾と)、色彩が微妙に変化すること、実は強い毒性も持つこと、などからどうやら一筋縄ではいかない存在のようです。

本土寺は花菖蒲池も見事です。アジサイ同様に抑えた寒色系の色彩が梅雨空に合います。厳密には菖蒲、アヤメ、カキツバタとは微妙に異なるとのことですが(違いはココ)、細かいことを気にするのはやめましょう。

本土寺はこれまで梅雨の季節に訪れていましたが、青々としたモミジの葉が境内の建物によく似合っていました。次回は紅葉の季節に訪れてみましょう。

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2010年6月20日 (日)

日本代表善戦中 @W杯

100620w 南アW杯の予選リーグも全48試合中、昨日(6/19)までに26試合を終了し、各グループの趨勢もみえてきました。A組フランス、C組イングランド、H組スペインといったヨーロッパ強豪国が不振の一方でブラジル、アルゼンチン、オランダ(決勝T進出決定)は順当に勝ち点を積み上げています。

日本代表はこの半年間の不振と迷走がまるで嘘のような善戦ぶりで、次のデンマーク戦に「引き分け以上」ならば決勝T進出という快挙を成し遂げることになります。現実を見据えた「弱者の戦略」に基き、攻撃的布陣から4-3-34-5-1)という守備的布陣への変更が功を奏したといえるのでしょうか。先発メンバーも選択された23名の中から、その戦術に見合う最良の11名が選ばれているように思えます(23名の選択については異論ありですが今更仕方がありません)。細かいところを言えば、どうして森本投入ではなかったのか?攻撃に出るのなら右SB内田も面白かったのでは?(オランダ側に先に左ウィング交代をされて難しくなりましたが)。まぁ、百人の評論家やサポーターがいれば百通りの分析がなされるというのがサッカー観戦の面白さなのでしょう。

それにしてもW杯の予選リーグの仕組みはよく出来ていると思います。ひとつの敗北が強豪チームを天国から地獄へと突き落とし、ひとつのゴールの重みが得失点差という形で生きてきます。今回のE組でも、結局、もし日本がオランダに同点に追いついていたとしても、次戦のデンマークに対して「引き分け以上」という状況は変わりませんでした。仕組みの面白い綾です。勿論、オランダに引き分けるという勲章は日本チームの自信と士気を高め、FIFAランキング位置にも好影響を与えたでしょうが。

また、このような短期決戦での勝敗はメンバーの個人能力をベースとしたチームとしての「実力」に加え、そのチーム内の和、連携、選手の調子といったチーム「状態」、監督の「采配」、更に審判のジャッジを含めた「運」が大きく作用するでしょう。例えば、フランスの不振はチーム内不和も一因であり、監督への暴言を吐いたFWアネルカの強制送還というニュースも飛びこんできました。日本はこれまでの2試合で「実力」における劣勢を他の要素で補ってきたということがあります。ただし、試合を積み重ねる毎に問われてくるのが「実力」なのでしょう。予選リーグでの残る一試合を「運」も含めて乗り切ってもらい、是非決勝トーナメントに駒を進めてもらいたいものです。そこでのF組のイタリアあるいはパラグァイとの一戦も楽しみです。そして、W杯で得た実績と評価がアジア枠数の維持のみならず、Jリーグへの再認識とレベルアップに繋がることを望みます。

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2010年6月13日 (日)

ラベンダーランド@佐倉

100613 今日は隣の佐倉市に3年前にオープンしたラベンダーランドで「ラベンダー祭り」が行われているというので出かけてみました。場所は佐倉市先崎というユーカリが丘と印旛沼の丁度中間地点です。約5,500株(7,000m2)のラベンダー畑を背景に模擬店、ラベンダーと野菜の直売、音楽イベントなどが行われていました。新聞等で知ったのでしょうか?大勢の人たちが訪れていました。

今、咲いているのは「濃紫早咲」という名が示す通り濃紫色の早咲き品種です。ファームには続いて「おかむらさき」、「グロッソ」という品種がそれぞれ時期をずらして開花を待ち構えていました。

ラベンダーの風景といえば、やはり北海道の富良野が代名詞ですが、ここ佐倉も富良野の冨田ファームからの移植栽培とのことです。佐倉の気候に見合った品種が成功裏にこの地に根付きつつあります。畑は拡張中で、数年後には更にスケールの大きなラベンダー畑に変容し、北総を代表する花の観光名所の一つになるのではないでしょうか。これから毎年訪れるのが楽しみになってきました。

部屋にはドライフラワーにするために吊るしてあるラベンダーの香りが漂っています。このラベンダー畑は7月中旬まで楽しむことが出来るとのことです。お近くの方、お薦めです。この夏には美瑛と富良野にも行きたくなってきたぞ・・・。

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2010年6月 7日 (月)

え?ブラームスのピアノ協奏曲第3番?

100607pc3 ブラームスのピアノ協奏曲第3番とは?ひょっとして新発見?タイトルに惹かれて少し前(2月発売)の新譜を購入しました。これはクロアチア出身の若手ピアニスト、デヤン・ラツィックにより「ヴァイオリン協奏曲」のソロ部分をピアノに置き換え、カデンツァを自身の作曲としたものです。

さて、のっけから響くのは当たり前のことながら重厚なブラームスサウンドです。オケだけの前奏に続いて、いつものようにヴァイオリンの登場が・・・というところで力強く現れるのがピアノのフォルテシモです。違和感はほんの十数秒で、すぐにピアノ協奏曲の世界に入り込みます。ピアノ協奏曲2番とも相通じる推進力に溢れたリズムがむしろピアノとの相性を良くしているのでしょうか。カデンツァを経由して堂々とブラームスの音世界を造り上げます。

翻って、第2楽章ではやはりピアノの粒立ちよりもヴァイオリンの情感と香ばしさに軍配が上がります。オケへの溶け込みと浮き上がりを繰り返す、計算されたハーモニーの美しさはやはり弦楽器ならではのものです。

最終楽章のアレグロでは再びピアノが縦横無尽に活躍します。ここでも前進的なリズムが更にピアノを引き立てます。オケとのスリリングな掛け合いならばピアノ、サウンドとのハーモニーの妙を楽しむならばヴァイオリンかもしれません。

結論として、単なるキワモノに留まらない面白さですが、ピアノ協奏曲「第3番」を騙ることには不満です。ブラームスのピアノ協奏曲にはたった2曲だからこその尊さと不滅の価値があります。この曲はあくまでも「ヴァイオリン協奏曲のピアノ編曲版」にとどめておくべきものでしょう。

ちなみに手元からお気に入り盤を選ぶと、「ヴァイオリン協奏曲」は若き独奏者の溌剌さを美しいオケが支えるムター・カラヤン・BPO盤(1980)、「ピアノ協奏曲1番」は瑞々しい独奏と躍動する管弦楽が掛け合いの妙を聴かせるツィマーマン・バーンスタイン・VPO盤(1995)、「ピアノ協奏曲2番」は身震いのするような完成度の高さでゼルキン・セル・クリーブランド盤(1966)です。

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