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2010年3月28日 (日)

J1第4節 鹿島VS山形 @カシマスタジアム

100327 晴れ、気温11度、湿度40%と、この季節としては絶好のサッカー日和でした。山形も健闘しましたが、結果は鹿島が3-1と危なげのない勝利。後半26分の山形の反撃の1点はMF増田からの技ありのループパスをFW田代が頭で決めるという今シーズン鹿島からレンタル移籍した二人の連携によるもので、観客席はむしろ「良くやった」という温かい反応でした(まるで紅白戦?)。鹿島ファンによるこの二人の活躍への大きな期待が窺われます。ひとつは競合チームとの試合での勝利への貢献、もうひとつは実力向上を果たした上での帰還です。

試合の勝敗は前半に鹿島が2-0としたところで決まってしまいましたが、今シーズン初先発を果たしたDFイ・ジョンスとMF遠藤の活躍により鹿島というチームの人材の豊富さに改めて感心します。鹿島の素晴らしさはゲームを上から俯瞰をすることでいっそう良く理解出来ます。縦横にポジションを入れ替えながらも陣型とマークを崩さない組織サッカーに加えて、攻守の切り替えの速さ、ボール際の強さ、司令塔小笠原による緩急の組立、更に臨機応変のひらめきが加わるのです。

この数試合、本山とガブリエルの離脱により遠藤が脚光を浴びていますが(加えて、先日のACLで初出場を果たした小谷野)、彼らの復帰後、特に攻撃的MFのポジションでチ-ム内競争がますます激しくなりそうです。場合によっては攻撃的MFの競演となる4-2-3-1の布陣なども試してもらいたいものです。いずれにせよ、過密日程を乗り越えるに十分な戦力が整いつつあり、リーグ戦とACLの両制覇に期待です。次の火曜日(4/30)には中2日でインドネシアでのアウェイ戦です。マルキ、内田、中田は帯同から外して休ませたいぞ。

ところで、遠藤康ってジャルジャルの福徳に似てる・・・。

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2010年3月17日 (水)

トム・ロブ・スミス『グラーグ57 』

10031857 前作『チャイルド44の続編です。同じように政治的事件を背景とした激しい展開が続きますが、よりバイオレンス的色彩が強く、主人公レオのスーパーマンぶりと併せて若干辟易とさせられます。1956年の第20回党大会におけるフルシチョフの秘密報告と、同じ年に起こったハンガリー動乱は共に東側陣営における重大な歴史上のエポックですが、特に後者の動乱に物語を融合させる展開に無理を感じました。

ハンガリー動乱については「ハンガリア1956」というドキュメンタリーの名著があります。これは現代思潮社による「カタロニア賛歌」、「知られざる革命-クロンシュタットの叛乱とマフノ運動」、「報復-サヴィンコフの反逆と死」といった反スターリン主義の立場からの革命ドキュメンタリーシリーズのひとつで1970年代の新左翼系読者によってよく読まれたものです。ツァーリが支配する後進国に発生したロシア革命の特殊性そのものの中にすでにその萌芽があったとはいえ、革命の理念と建設への希望はスターリンの登場によって見事に裏切られることになったのです。

フルシチョフの秘密報告(講談社学術文庫1977年)もそれが日本で出版された時にはすでにスターリン神話は瓦解していたとはいえ、そこに記述された膨大な数の冤罪事件や民族的な虐待、多数の有能な軍人を粛清したことによりドイツとの戦争を一層悲惨なものにしてしまったことなどの事例はどんな小説よりもショッキングなドキュメンタリーとなっていました。しかし、ロシアが実質的に内外の雪解けに向けた歩みを果たすのは、その後ブレジネフ書記長時代(1964-1982)の長い保守停滞期間を経て、1982年のアンドロポフ書記長の登場を待つことになります。そのアンドロポフが1956年にはハンガリー大使として動乱の鎮圧に関わり、その後、KGB議長を務めていたというのは歴史の皮肉でしょう。

私事になりますが、私が初めてモスクワを訪れたのは1977年のことでした。以降、仕事で接してきた多くの年配の技術者たちにはスターリンの時代を生き抜いてきたという苛烈な歴史があったのでしょうが、私たちの前では穏やかな態度と笑顔を絶やすことはありませんでした(一部の高圧的な幹部を除いては)。特に地方では底抜けに親切で人なつこいロシア人たちと多く接してきました。特高警察が目を光らせていた戦前の我が国と同様、二度とあの時代に戻ってはならないと思います。

書評から大きく逸脱してしまいました。この本に政治的メッセージが込められていことはなく、また求める訳でもありませんが、折角の興味深い歴史的大事件を背景としていながら単なるバイオレンスアクションに終始してしまっていることが残念です。

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2010年3月14日 (日)

自衛隊習志野基地に大型弾薬庫が!?

100314_2 船橋、習志野、八千代の3市にまたがり、私の家から歩いて15分ほどの距離にある陸上自衛隊習志野基地に大型弾薬庫が建設されようとしています。1トンの既設貯蔵庫の老朽化を理由に一挙に21トン貯蔵の新弾薬庫が計画されているのです。防衛省からは隣接(周辺ではなく)住民宛のお知らせが回覧(配布ではなく)されただけで、近隣の自治会等からの説明会の開催要請には一切応じていません。

最近、住宅地の真上での低空飛行やパラシュート訓練等、やけに基地の活動が活発になってきたなと感じていました。これはどうやら、これまでの「第一空挺団・特殊作戦群」が20073月に発足した「中央即応集団」の編成部隊に改組されたことにあるようです。この「中央即応集団」というのは自民党政権時代に策定された防衛大綱に基づいて、日米統合運用を前提としていたとのことです。2,200名の部隊による戦闘行為への「即応性」を確保するために常時21トンの弾薬を必要とするとのことのようです。

さて、まず習志野基地の特殊性といえば、住宅密集地の只中にあるということです。例え、それらの住宅地が後から出来たものとはいえ、今や典型的な東京のベッドタウン3市に囲まれた狭い区域内に大弾薬庫を新設するなどというのは市民の安全で健康的な生活への希求を無視した軍事優先の暴挙と言わざるをえません。上述したように、防衛省は説明会の開催を拒否し、周辺3市の行政も「国防問題は国事」ということで関与を忌避しています。弾薬庫建物の構造、弾薬の種類、事故やテロによる万が一の爆発の際の被害シュミレーションなどは一切明らかにされず、住民の不安は高まるばかりです。周辺住民へ「最低限の事実を知らせる」ことは防衛省と地方自治体による基本的な責務と考えます。

周辺が住宅や商業地域に取り囲まれているということで最も気になるのが保安距離です。火薬類取締法によれば21トンの貯蔵に対し、470メートルの保安距離を必要としますが、計画ではそれを10トンと11トンの二つの近接貯蔵庫に分けることで、11トンに要求される360メートルで善しとするとのことです。誘爆は絶対にあり得ないという前提なのでしょうか?ちなみに470メートルの場合は常時渋滞を引き起こしている国道296号線と習志野台住宅地がその半径内に入ります。

もし、建物(仕様不明)がコンクリートの場合、内部爆発により破片が数キロ先の住宅地に降り注ぐ危険があります。構造物仕様を含めた情報の公開と爆発時のシュミレーションならびに為すべき対応を近隣住民に対して周知することは当然のことと考えます。

最も懸念されることは、この自衛隊基地(221ヘクタール)が周辺自治体によって災害時の「広域避難所」に指定されていることです。巨大地震等発生の際に弾薬庫の隣に逃げ込まねばならないという矛盾に行政はどのように答えるのでしょうか?

この習志野基地は約2年前(200712月)に地対空ミサイルのパトリオット(PAC3)が搬入されています(記事はここ)。新政権の下でもPAC3に関しては1230億円と従来を上回る予算が計上されています。なし崩し的な軍備の拡大が止まないことを憂います。

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2010年3月 9日 (火)

トム・ロブ・スミス『チャイルド44 』

100308child44 何とも強烈で凄まじい内容のサスペンスミステリーでした。この作品は2008年度のCWA賞(英国推理作家協会賞)の受賞作ということで発売以来、日本でも評判になっていた作品です。作者のトム・ロブ・スミスは1979年生まれの32才、荒削りなところはあるものの、この作品がデビュー作というから驚きです。

この物語は実際にロシアで50人以上が犠牲になったという連続殺人事件(チカチーロ事件)を題材としています。この事件が起こったのは1978年から1990年の間で、犯人のチカチーロは1990年に逮捕、ソ連邦崩壊後の1992年に死刑判決を受けて処刑されています。小説では時代を40年ほど遡らせて、1954年、未だ、スターリンの粛清の嵐が止まないモスクワと中部の地方諸都市を舞台としています。そのことで、連続殺人事件を追う主人公と周辺の人々が関わるスターリン体制下での国家の病理や恐怖のシステムがこれでもかと描かれます。

ベストセラー作品であるにも関わらず、ロシアでは未だに発禁(今の時代にどれだけ意味があるかは不明ですが)となっているとのことです。すでに1956年の党大会におけるフルシチョフの秘密報告以降、スターリン体制は否定され、その粛清と恐怖政治の実態が様々の形で暴露されてきたにも拘わらず、改めてこのようなミステリー小説において、その時代の恐怖が克明かつ臨場感をもって描かれることはロシア政府にとっても決して好ましいことではないのでしょう。こうして、連続殺人事件を巡るミステリーもさることながら、恐怖政治による抑圧が一層のおぞましさをもって強調される作品となりました。

物語展開には粗さや若干の無理も見られますが(特に終盤での民衆の過剰な善意)、そのような瑕疵は問題にならないほど、作品そのものが持つ力とインパクトは強烈です。主人公とその妻の内面の描き方も丁寧な筆致で引き込まれます。この作品はすでに映画化が決定されており、続編の「グラーグ57」もすでに発売されています。どちらも見逃せません。

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2010年3月 6日 (土)

J1開幕! 湘南VS山形 @平塚

今シーズンのJ1が開幕しました。狩り出され観戦の行き先は雨の平塚競技場・・・。昨シーズンに11年ぶりのJ1復帰を果たした湘南ベルマーレとどうにかJ1に踏みとどまった山形モンテディオ戦です。これって開幕戦から熾烈な残留争い?

試合内容はボールへの寄せへのスピードで湘南が勝り、ゲーム全体を支配していました。山形はカウンターの動きが遅く、相手陣内に攻め入った時にはすでに守備態勢を固められています。FW長谷川と田代のツインタワーにはぴったりとマークが付けられて殆んど機能することはなく、湘南側の巧者ぶりが目立った試合でした。もっとも今後、それがJ1の上位チームに通用するかどうかは疑問ですが・・・。山形も鹿島からレンタル移籍した期待の田代、増田を活かすまでにはしばらく時間がかかりそうです。

結果は湘南にとってはアンラッキーなオウンゴールもあり、1:1の引き分け。しかし、双方にとってはとても貴重な勝ち点1でしょう。

一方、最も注目していた鹿島アントラーズ・浦和レッズ戦は録画観戦。先制点を生みだした小笠原から興梠へのラストパスは見事としか言いようがありません。またアントラーズは、チームとしての完成度の高さと共に、最大の武器であるカウンターの速さと鋭さは更に磨きがかかっているように思えます。4連覇のみならず、ACL制覇に向けた期待がますます高まります。

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