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2009年12月29日 (火)

2009年の忘備録

2009年が暮れようとしています。

今年の最大のニュースといえば何といっても政権交代でした。この夏は日本中が一種の熱病に浮かされていたように思います。その喧騒から3カ月が経ち、一向に進まぬ改革と、鳩山・小沢両氏の不明朗な資金問題に国民の期待が急速に萎みつつあるのを感じます。

しかし、例えば普天間米軍基地問題でいえば、マスコミの「日米関係が危ない」という近視眼的なキャンペーンに惑わされて拙速、かつ利権絡みの辺野古への移転案を安易に踏襲してはならないと思います。むしろこれを機に、沖縄と日本国内を米軍基地だらけにしてしまった50年目の日米安保を見直す最大のチャンスが訪れたといえるのでしょう。新政権の向かう先をもう少し見守りたいと思います。

さて、下記は自分への2009年の「忘備録」です。今年もまとまりのない一年でした。読書はもっぱら図書館から借りる気楽な歴史エンターテイメント、次第に難しいものが苦手になってきました。観劇やコンサートを増やしたいのですが予算が・・・。

では皆さま、良いお年をお迎え下さい。

2009年に読んだ本>

「超ひも理論」 広瀬立成 PHP研究所

「狂歌百人一首泥亀の月を読む」 山本廣子  武蔵野書院

「木工ひとつ話」 大竹収 プレアデス出版

「私にとっての20世紀」 加藤周一 岩波文庫

「戦争と平和・それでもイラク人を嫌いになれない」 高遠菜穂子 講談社

「本当のアフガニスタン」 中村哲 光文社

「俘虜記」 大岡昇平 新潮文庫

「野火」 大岡昇平、 「桜島」「断崖」 梅崎春生 新潮文庫

「事件」 大岡昇平 新潮社

「暗い絵」 野間宏 筑摩書房

「小説 大逆事件」 佐木隆三 文春文庫

「望みは何と訊かれたら」 小池真理子 新潮社

「ハッピー・リタイアメント」 浅田次郎 幻冬舎

「楊令伝] 8-11巻 北方健三 集英社

「楊家将」上下巻 北方謙三 PHP文庫

「血涙」上下巻 北方謙三 PHP文庫

「史記 武帝紀」1-2 北方健三 角川春樹事務所

「張騫」 塚本青史 講談社

「三国志」 全巻 吉川英治 講談社文庫

「曹操残夢」 陳舜臣 中央公論新社

「耶律楚材」 陳舜臣 集英社

「神無き月十番目の夜」 飯嶋和一 小学館文庫

「林蔵の貌」 北方健三 集英社文庫

「菜の花の沖」全巻 司馬遼太郎 文春文庫

「功名が辻」全巻 司馬遼太郎 文春文庫

「歳月」上下巻 司馬遼太郎 文春文庫

「十一番目の志士」上下巻 司馬遼太郎 文春文庫

「竜馬の黒幕」 加治将一 祥伝社文庫

「士魂商才・五代友厚」 佐江衆一 講談社文庫

「武揚伝」上下巻 佐々木譲 中央公論社

「帰らざる荒野」 佐々木譲 集英社

「信長の棺」上下巻 加藤廣 文春文庫

「秀吉の枷」上中下巻 加藤廣 文春文庫

2009年の観劇・コンサート>

「こうもり」 新国立劇場

ロシアナショナル管弦楽団 プレトニョフ(C)、川久保賜紀(V) 東京文化会館

「ウェストサイド物語」 来日公演 オーチャードホール

パトリシア・プティボン コンサート

 

2009年の美術館>

信州上田「無言館

箱根仙石原「ガラス博物館」

「忘れえぬロシア展」東急文化村ミュージアム

八ヶ岳山麓 平山郁夫「シルクロード美術館」 

2009年のスポーツ観戦>

J1第3節 FC東京 vs.山形モンテディオ戦

J123節 鹿島アントラーズ vs. FC東京戦

J127節 鹿島アントラーズ vs. 名古屋グランパス戦

J130節 鹿島アントラーズ vs. ジェフ千葉戦

J133節 鹿島アントラーズ vs. G大阪戦

2009年の映画館>

METライブビューイング「タイース

METライブビューイング「つばめ」

METライブビューイング「夢遊病の娘

METライブビューイング「チェネレントラ」

METライブビューイング「アイーダ」

「チェ28歳の革命」

「チェ39歳 別れの手紙」

「いのちの戦場」

310分決断の時」

2009年のblogアクセスページトップ5

「METライブビューイング」関連

「スーザン・ボイルとエレイン・ペイジ

「生瀬一揆の跡地を歩く」

「縮小を続けるアラル海」

「山下りん」関連

最近、かつて良く眺めた風景が懐かしい。

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2009年12月23日 (水)

浅田次郎・『ハッピー・リタイアメント』

91223_2 「最高の人生とはたいそうな給料をもらい、テキトーに仕事をすることである。」という帯コピーに惹かれて購入して一気読み。「上も下もつかえているから横に出してもらった」冴えない主人公たちの「お茶を飲んだり本を読んだりしてればいい」夢のような天下り先での物語です。話が出来過ぎているという展開上の難点はありますが、天下りを揶揄したブラックな表現の連続には大いに笑えます。

プロローグによれば、この物語は浅田次郎氏がかつて実際に利用したことのある(かつ踏み倒さざるを得なかった)融資債務保証機関からの訪問を受けたことがヒントになっているようです。物語では、独立行政法人であるこの債務保証機関の不良債権回収部門が恰好の天下り先になっているという訳です。すでに時効となった債権の回収努力をするのではなく、その記録を保管することだけが天下り職員たちの「仕事」です。債権放棄と彼らの給料という税金の二重取りですよね。この舞台設定の面白さにまず笑わされます(でも、これって本当に実態なの?)。

この夏の政権交代以降、利権と結び付いた天下り構造の理不尽さがますます明らかになるにつれ、僕らの怒りは増している訳ですが、浅田次郎氏はその天下りの実態を面白おかしくデフォルメしながらも痛快に笑い飛ばします。時宜に見合った一冊といえるでしょう。

勿論、天下り役員や職員の全てがこのような環境を享受している訳ではなく、実際に独立行政法人や財団法人、社団法人等(いろいろあるなぁ)の現業で働く一般職員の勤務条件は決して恵まれているものではありませんし、ましてや民間における子会社再雇用の条件は極めて厳しいものでしょう。昨日、年末ジャンボ宝くじの売り場で長い列を作っている人々に、天下り組織の「くびき」からの脱出を願って冒険を開始したこの本の主人公たちの姿が重なって見えてしまったのは、やはり今の世相ゆえなのでしょうか。

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2009年12月 8日 (火)

住むなら江ノ電沿線

91208 今日の新聞(日経首都圏版)に「住むなら江ノ電沿線」という記事が載っていました。京王や東急の各線を抑えて堂々の一位でした、やはり都心からそう遠くない距離に忽然と現れるレトロな単線車両と明るい海岸沿いの風景が都会の人々を惹き付けるのでしょうね。ちなみに千葉県と埼玉県の路線はベスト10の中に一本もありませんでした。やっぱりね・・・。

私が江ノ電で高校時代の3年間を通学したのはもうン十年前になりますが、当時は、この電車で通学すること自体に価値があるなどとは想像だにしませんでした。しかし、今から思うと、目の前の七里ガ浜と正面遠くに霞む大島をぼーっと眺めながら電車を待っていた日々は何にもまして穏やかなものでした。そういえば、教室からも見える同様の風景ゆえに、「K高ボケ」という言葉がこの学校の半世紀にわたる揺ぎの無い伝統として今日に至るまで引き継がれています(自慢していいのか?)。

この間、久しぶりにこの電車に乗る機会がありました。途中の「K高校前」でどやどやと乗り込んできた高校生たちの何と幼く見えること!当時は一人前のつもりだったのにと思うと思わず苦笑です。

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2009年12月 5日 (土)

祝・「鹿島アントラーズ」三連覇!

91205 J1最終節でアントラーズが三連覇を果たしました。TV観戦でしたが手に汗を握る試合内容でした。このような大一番を1-0で勝ちきるアントラーズの底力を見せつけた試合でした。浦和レッズの各選手の動きも良かっただけに、尚更のこと勝利の価値が増したように思います。レッズは試合開始直後のスピーディな攻めが続かなかったこと、ロスタイムの怒涛の攻撃に連携と精度を欠いたことで一矢を報いることが出来ませんでした。一方、アントラーズは最後まで組織的な連携、守備から攻撃への素早い切り替え、そしてゴールへの執念が途切れることはありませんでした。後半21分、小笠原から内田への一斉攻撃の合図となるパス、内田の高い精度のロングパス、そして興梠の飛び込みという連携プレーは実に見事でした。

前節はカシマスタジアムでガンバ戦を観戦してきました。逆転優勝のためには勝ち点3を獲るしかなく、前がかりにならざるをえなかった薄いガンバ守備陣の裏を襲って5-1のゴールラッシュにスタジアムはお祭り騒ぎでしたが、川崎Fも勝利し、残念ながら優勝の瞬間は見逃しました。ガンバ戦は小笠原vs遠藤という司令塔対決も見ものでした。今日の試合も結局は「レッズには司令塔がいなかった」ことが勝敗を分けたようにも思います。

来週には天皇杯が準々決勝から再開されます(再びアントラーズvsガンバ戦だ)。ワールドカップの予選組み合わせも決まりました。シーズンオフ中の主力選手の移籍先にも注目です。まだまだ目が離せません。

また、J2の湘南ベルマーレがJ1昇格を果たしました。11年振りのJ1復帰です。高校時代の友人たち(藤沢、茅ヶ崎)に言わせると「平塚は湘南じゃないよ」となりますが(勿論、冗談です(^^;))、それでも喜んでいました。来シーズンは鹿島(贔屓チーム)、湘南(出身地)、山形(カミサンの実家)、仙台(学生時代の地)を応援することになりそうです。忙しいぞ。あ、地元千葉の2チームも1年でJ1に戻ってきて欲しいですね。

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2009年12月 3日 (木)

『アイーダ』@METライブビューイング

91201aida_1_2  お馴染みのMETライブビューイングは3シーズン目に入っています。今回出かけたのがヴェルディの大作『アイーダ』でした(12/2東劇)。案内役はすっかり板に付いたルネ・フレミング、真っ赤なスーツが良く似合います。ますますスリムに若返っていく不思議な存在です。スターぶらないところにとても好感が持てます。

2幕のバレー振付けを除いて、演出も舞台も衣裳も1989年のメト版DVDと同一です。もう20年以上にわたって継続されている伝統的な、如何にもMETらしい豪華絢爛な舞台です。その20年前の舞台映像で同じアムネリスを歌っていたのが若きドローラ・ザジック(MS)でした。気が強く、嫉妬心に燃える憎まれ役ですが、一方で悩める王女を見事に好演し、主役のアイーダ(A・ミッロ)をすっかり霞ませていました。20年後のザジックは流石に体型も身のこなしもすっかり変わりましたが声の迫力は一層磨きがかかったようです。インタビューで彼女はすでに20年、250回にわたってアムネリスを歌ってきたとのことです。

タイトルロールのアイーダにはリトアニア出身のドラマティック・ソプラノ、ヴィオレタ・ウルマーナが配されました。重量級の二人が並ぶと視覚的にもかなりの迫力ですが、最後の地下牢のシーンでは静寂の中でウルマーナのリリックな高音の美しさが胸を打ちます。この作品はこけおどし的とも言える第2幕のスペクタクルシーンを終え、何といっても3幕のアムネリスの独白シーンと4幕のラストの美しさが秀逸です。最近は演技力に長けたビジュアル系ソプラノにすっかり慣れてきってしまいましたが、今回は改めて音楽の雄弁さを際立たせる伝統的オペラの醍醐味を楽しむことが出来ました。

ところで、今回は幕間のインタビューがとても面白かったです。登場したのは何と兵士、侍女、捕虜を演じた無名のエキストラたち。内二人はフォーチューン誌の記者と医療関係者だそうです。オペラファンが高じてエキストラのオーディションを受け、そのまま病みつきになってしまったようです。劇場はこうした人々にも支えられているのですね。最後の、

ルネ「その捕虜の格好、とても良く似合うわね」

エキストラ「では、今度ばらの騎士にもこれで出ましょうか?」

ルネ「遠慮しとくわ」

という軽妙なやりとりには笑えました。

尚、昨シーズンはスピーカーからの大音響と音割れで耳を塞ぎたくなったこともしばしばでしたが、今回は抑制された音量で大幅に改善されていました。東劇側で何らかの配慮を行ったのでしょうか?

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