« 『鹿島 vs FC東京』@カシマスタジアム | トップページ | 新政権の発足と核密約問題 »

2009年8月30日 (日)

北方謙三・『楊家将』と『血涙』

90829_3 90829_4   図書館に頼んでいる「楊令伝第10巻」がなかなか回ってこないので、同じ北方謙三の『楊家将』とその続編の『血涙』(共にPHP文庫)を読みました。躍動感に溢れたスピーディな展開に一気読みです。

この作品には「楊家将演義」というれっきとした下敷きがあるのですね。三国志演義、水滸伝演義と同様に古くから伝わる中国の主要伝奇作品の一つとのことです。「演義」は宋建国の時代に実在し、活躍した楊業に始まる楊家5世代にわたる長大な物語のようですが、北方作品では父、楊業とその六男の楊延昭を中心とした2世代の物語です。しかも、水滸伝を徹底的に作り直しているのと同様に、この「楊家将」の物語も北方流の独自作品に仕上げています。特に、北方「水滸伝」で「宋」側の青蓮寺や禁軍の将軍たちを詳細に描いたと同様に、敵対国「遼」における登場人物たちを克明に描いています。楊家の登場人物たちの運命もドラスチックに変えられ、特に四男延朗の数奇な運命がドラマの中心となっています。

300年続いた宋王朝も13世紀の後半になると綻びが目立ち、やがて北方民族の「金」に滅ぼされます(1279年)。「宋」の末期、「水滸伝」で楊一族の末裔の楊志は軍を捨てて梁山泊の一党に加わります。二つの「演義」の結びつきは北方作品においては更に「吹毛剣」という宝刀を媒介することによって「楊家将」「血涙」「水滸伝」「楊令伝」という一群の作品の連続性を高めています。この雄大な構想力と一貫性にはただ感嘆するばかりです。

「楊家将」と「血涙」は暫しの間、この夏の蒸し暑さを忘れさせてくれた作品でした。それにしても、楊令伝の第10巻は未だですか(>図書館)? いよいよ「金」が「宋」の都、開封府を攻略するようですが、梁山泊の頭領であり、楊家の末裔でもある楊令とその仲間たちはこの歴史的事実の間でどのような存在感を発揮するのでしょうか?北方作品の構想力と想像力に興味は尽きません。

|

« 『鹿島 vs FC東京』@カシマスタジアム | トップページ | 新政権の発足と核密約問題 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/161527/46065476

この記事へのトラックバック一覧です: 北方謙三・『楊家将』と『血涙』:

« 『鹿島 vs FC東京』@カシマスタジアム | トップページ | 新政権の発足と核密約問題 »