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2009年5月12日 (火)

『トレチャコフ美術館展』 @Bunkamura

90512 「忘れえぬロシア」と題した国立トレチャコフ美術館展が渋谷のBunkamuraミュージアムで開催されています(67日まで)。全75点のロシア近代絵画群です。写実的な自然や日常風景を中心とした作品が多く、とても気分が和むと共に懐かしさを味わいました。

1980年代には仕事で頻繁にモスクワを訪れていました。旧ソ連邦にほとんど娯楽が無い時代で、昼間は美術館、晩は劇場でバレーやコンサートを観るというのが出張者たちにとっては最大の贅沢でした。モスクワにはヨーロッパ絵画を集めたプーシキン美術館と、ロシア絵画を集めたトレチャコフ美術館という双壁を成す二つの国立美術館があり、かわるがわる訪れたものです(ちなみにサンクトペテルブルではエルミタージュとロシア美術館が同様に双壁ですね)。

展示は主にクラムスコイやレーピンといった所謂「移動展派」と呼ばれる画家たちの作品が中心です。19世紀の後半にロシア美術アカデミーの権威に抵抗し、自然や民衆の日常をどこまでも写実的に描き、かつ移動展でもって人々の中に溶け込もうとした画家たちです。いわば芸術の世界での「ナロードニキ」ですね。革命後の社会主義リアリズム(というよりはスターリン主義)による干渉も未だ無い時代の自由と闊達さが作品に溢れています。特に市民の日常を描いた作品群には好感が持てます。ニコライ・クズネツォフの「食事のあと」(上の絵)などはその典型でしょう。

モスクワのトレチャコフ本館ではもっと暗い印象の絵が多かったように思います。社会主義リアリズムに影響された帝政時代の「抑圧」と過酷な「労働」を描いたものが多かったからでしょうか?またイリヤ・レーピンというと「ヴォルガの舟曳き(ロシア美術館)」のような労働を写実的に描いた作品が代表的と思われますが、今回の展示では「あぜ道にて」(下の絵)のようなまるでモネの「日傘をさす女」のような明るく透明な絵が出品されています。

一部を除いて印象派の作品群のような鮮やかさと革新性を感じることはありませんでした。しかし、ロシアの大地や自然や人々への愛着と誇りに溢れていることへの羨ましさと共感を大きく覚えます。見た後にこれほどの爽やかな気分を残してくれる展示会も珍しいのではないでしょうか?

90512_2

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コメント

きゃあ!!

すごく楽しみです
レーピンらのを 実際見られるのは なかなかないチャンス!

いってきますよ 

投稿: lovebabo | 2009年5月13日 (水) 20時35分

lovebaboさん、
レーピンの絵は8作品あります。レーピンというと民衆や労働をを描いた作品のイメージが強いのですが、ここでは印象派の影響を受けた(彼はパリに遊学していたのですね)明るい作品が展示されていました。
ぜひ、見て感想を聞かせて下さい。

投稿: YASU47 | 2009年5月13日 (水) 23時24分

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