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2009年1月26日 (月)

映画・『チェ 28歳の革命』

90125che3 革命家、エルネスト・チェ・ゲバラの半生を描いた二部作の前半、『チェ 28歳の革命』を観ました。1955年のメキシコにおけるフィデル・カストロとの出会いから、1956年のキューバ上陸、ゲリラ戦争を経て1959年のキューバ革命達成に至る約4年間の戦いを描いた作品です。随所に1964年の国連総会における演説の模様を挟み込むことでドキュメンタリーの雰囲気を醸し出しています。作られた英雄物語ではなく、むしろ淡々と史実を進行させていくことでチェの革命家としての生き様を描こうという製作者の意図が感じられます。その名前を聞いただけである種の畏敬の念を禁じえないゲバラ後世代のひとりとしては、彼の生き方を追体験するというまたとない機会でした。

さて、その私たちの世代にとって、当時の最大の政治的関心事といえばベトナム戦争とそれを支える日米安保体制、さらには高度経済成長にまつわる多くの歪みの問題(公害、差別、労働問題等)であり、国際的視点といってもアジア地域をなかなか超えるものではありませんでした(一部のパレスチナ問題への関与を除いて)。キューバ革命、チリのアジェンデ政権の実験、ニカラグアのサンディニスタ革命といった中南米のあまりにも激しい戦いは地理的にも気質的にも簡単には埋めることの出来ない距離を感じたものです。しかし、チェ・ゲバラが貫いた直接行動主義と理想主義は当時の新左翼陣営の行動指針に一定程度の影響を与えていたことも事実です。

尚、ゲバラはキューバ革命を果たした直後の19597月にキューバ使節団を率いて日本を訪れていました。12日間の滞在中、日本各地の工場訪問や通産・商工関係との面談を精力的に行いました。途中、抜け出して突如広島に現れ、原爆死没者慰霊碑に献花し、資料館と原爆病院を訪れています。当時の日本では知名度も低く、関心を持つマスコミもありませんでした。下の写真は、唯一取材を行った中国新聞の記者によるものです。

チェといえば、アンドリュー・ロイド・ウェバーによるミュージカル「エヴィータ」で進行役を務めていましたね。アルゼンチンのペロン政権(第一次)が1946-55年であり、エヴァ・ペロンも1952年に死去するまでは共に権力の座にありました。労働者や貧困層を支持基盤とした筈のペロン政権の変質に伴い、当時20代のチェ・ゲバラ本人も母国アルゼンチンを見切って南米各地の放浪を開始しました。あのミュージカル作品でのチェの役割には実際的な裏付けがあったのですね。

次作、『チェ 39歳の手紙』も観にいきます。

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コメント

僕も観に行こうと思いながら未だ行けず・・・です。

僕はこの時代の革命の息吹きというものをリアルタイムでは経験していないので、実感としてはよく分からないことも多いです。でも、「自分たちの力でなんとかしたい」という強い情熱があったんだろうなぁと感じますね。

僕は安易に暴力を肯定したくないので、彼のやり方に全面的に共感できるわけではないのですが、なんというかカッコイイ人ではありますよね(笑)。

投稿: こだま | 2009年1月28日 (水) 14時00分

こだまさん、
そう、彼の生き様、行動、容姿等の全てにわたるカッコ良さが革命美学の一つとなって半ば神格化されたのでしょうね。
僕も臆病なので暴力は苦手です。一方、世界では日常的に戦争や政治の暴力に晒されている多くの人々が存在するわけです。彼らの直接行動による正しい抵抗と僕らの暴力否認という正しい臆病をどう結びつけたら良いのでしょうね。

投稿: YASU47 | 2009年1月28日 (水) 14時42分

【革命】こそ、この100年に一度の不況にピッタリなのではないでしょうか?トロ様ぁ~!やっぱり、【目】で妊娠させていただきました!でも、ハンカチ、ぐちゃぐちゃになりましたぁ~!

投稿: トロ様♪ | 2009年2月 4日 (水) 04時28分

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