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2008年11月27日 (木)

北方謙三 『楊令伝』 1-7巻

81127 北方謙三『楊令伝』を現在まで発売されている第7巻まで読了しました(図書館から借用)。北方「水滸伝」全19からの流れで一気に読み進めました。作者が「水滸伝」を執筆するに当たり、すでにこの「楊令伝」を含めた全体構想を練り上げていたということが良く分かります。登場人物や舞台の連続性がしっかりと保たれています。

ところで、オリジナル「水滸伝」そのものにも「水滸後伝」というものが存在していたのですね。「水滸伝」(百回本)からの生き残りの英傑たちが南のシャム地方にわたって活躍するというものだそうです。李俊、公孫勝、戴宗らに加えて「水滸伝」では敵側だった聞煥章、扈成や欒廷玉、更には「北方水滸伝」では梁山泊と共に運命を共にする元小七、樊瑞、孫立、楽和、安道全、黄信らが再登場して共に活躍するとのことです。(興味を惹かれたのでamazonGOしました)

北方版では、そもそも「水滸伝」そのものの基本骨格をオリジナルから大きく変えてしまっており(梁山泊は帰順ではなく滅亡へ)、続編となる「楊令伝」でも物語と登場人物は「後伝」から大きく異なります。第6巻までの物語は宋・金・遼間の凌ぎ合いと「方蠟の乱」という史実を背景として梁山泊が楊令を中心として再起してゆく姿を描きます。そして第7巻で再び童貫率いる宋禁軍との決戦が再開されます。時代的にはそろそろ金が宋になだれ込む時期ですね。次巻が楽しみです。

   

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2008年11月22日 (土)

幸せなパニック映画・『ハッピーフライト』

81122_2 矢口史靖監督の『ハッピーフライト』を観てきました(公式サイトはここ)。いやぁ、期待通りの面白さにとても満足です。ジャンボジェットという超重量級の素材、国際空港という超近代的な舞台、しかも事故と悪天候によって危機に陥るという本来ならばスリル満点のパニック映画になるところをとても軽妙なコメディに仕立て上げました。パイロットや客室乗務員だけではなく、地上スタッフや整備員、管制官、乗客、更には飛行機オタクたちへの温かい視線と心配りが全編に溢れています。個々人の描写は表面的であり、また物語はあまりに一過性で、見終わった後に感銘が残るといった作品ではありませんが、心地よい清涼感といったものが幸せな気分にしてくれます。

田辺誠一(副操縦士)、時任三郎(機長)、綾瀬はるか(新米CA)、吹石一恵(CA)、寺島しのぶ(チーフパーサー)、田畑智子(GS)、肘井美佳(OCC)、岸部一徳(OCC)といった主演者たちは群像劇に相応しい芸達者ぶりで観る者をそれぞれ楽しませてくれます。

また矢口監督はこの作品で、これまでの「スウィングガール」「ウォーターボーイズ」といったローカル色の強いコメディタッチ路線を、温かな人間味はそのままに、スケール感とスピード感を一挙に拡大しました。飛行機ファンや利用者のみならず誰もが楽しめる良質のエンターテインメント作品です。

これから飛行機に乗るときにはピトー管の凍結や破損のことが心配になりそうです。でも危機に陥った時には、まずは笑ってみることにしましょう。

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2008年11月20日 (木)

今年も白鳥飛来 @本埜村

今年も千葉県印旛郡本埜村に白鳥の季節がやってきました。第一陣でしょうか、50羽ほどの白鳥がシベリアからの長い旅の疲れを癒すように田圃の中で羽根を休めていました。

それにしても驚きです。シベリアからの距離に比べると何とも頼りなくあやふやな点にすぎない僅か100メートル四方ほどの小さな田圃の一区画がこうして毎年恒例の白鳥飛来の地となってしまったのですから・・・。その経緯については本埜村のHPにも記載されているように10年以上にわたる近隣農家の皆さんと村や学校による餌づけと保護活動によるものです。

最盛期には1000羽を超える白鳥の群れと、時間帯によってはひっきりなしに上空を舞う華麗な飛行ショーを見ることが出来ます(昨年の記事はここ)。こうして、本埜村の白鳥たちは冬の北総風物詩の一つとしてすっかり定着した感があります。

さて、今年はどのくらいの白鳥が飛来するのかな? 到着した白鳥たちに思わず「お帰り!」と心の中で呼びかけてしまう私はすっかり北総人?

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2008年11月19日 (水)

紅葉 @袋田の滝

北関東の山地の紅葉は今が見ごろということで、茨城県の「袋田の滝」に行ってきました。滝そのものには「ふむ」という程度の感想しか持てませんでしたが(ナイアガラと比べてしまうとねぇ・・・)、周囲の紅葉は見事でした。この一帯はカエデ、ブナ、ナラ、クヌギといった広葉樹の原生林なのでしょうか、モミジ群の鮮やかさには欠けますが、赤、橙、黄、薄緑の組み合わせが織りなす淡いコントラストが独特の温か味を感じさせてくれます。

近所のイチョウやユリノキ並木も十分に色づき始めました。高い空、引き締まった空気と共に素敵な季節ですね。

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2008年11月14日 (金)

シュフラットくん宅のご馳走

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タシケントより無事に帰国しました。さて、写真は今回、シュフラット君の自宅に招待された時の様子です。ウォッカ、コニャック、ビール、緑茶、ジュースとソフトドリンク類、つまみ、数種類の野菜サラダ、お菓子、パン、庭で採れたブドウ、柿、りんごを含む果物類が最初からテーブルの上に並んでいます。

さて、食事が始まり、最初に出てきたのが焼き上がったばかりのミートパイ(サムサ)です。これはロシアのピロシキとちょっと似ていますが、中身は羊の挽肉とキャベツの中央アジア風味です。焼きたてはとても香ばしく美味しいです。

次が上の写真にも見えるスープ(マンパール)です。トマト、野菜、豆、羊の肉、底に小さなマカロニ状の小麦の粒が沈んでいます。シュルパ(羊スープ)、ラグマン(麺スープ)と並ぶウズベクの代表的スープの一つです。

81110 メインはシャシリクです。国によってはケバブ、シシカバブとも言われている金串に刺した炭火焼肉です。牛肉、鶏肉、魚などのコーカサス風シャシリクもありますがウズベキスタンでは何といっても羊です。独特の香料でもって味付けをし、スライスした玉葱を一緒に食べます。写真は庭で焼き上がりつつあるシャシリクです。

最後はプロフです。米を羊肉と豆などの具材共に油をひいた大きな丸い鉄鍋の中で長時間、水を加えながら炊き込みます。街のあちこちで食べることが出来ると共に、結婚式やお祝い事、記念行事等の際にも欠かせない伝統料理です。写真は出来上がり寸前のプロフです。羊料理が並びますが全く飽きることがありません。最後にはプロフで満腹かつ大満足です。81110_2

このようにして、ウズベクの人々は手料理でもってお客をもてなします。シュフラット君は私がこの国で2件の建設プロジェクトに関わっていた時代の運転手さんでした。約6年ぶりの再会でしたが駆けつけてくれて、こうして自宅に招待してくれたのです。食事を楽しみながら昔話に花が咲いたことは言うまでもありません。丁度一緒に滞在していた日本人仲間たちと出かけ、共にウズベク家庭料理と温かいもてなしを堪能した一日でした。

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2008年11月 9日 (日)

続・タシケントから

この地では珍しく数日間続いた雨の日から一転して今朝は気持ちの良い晴天です。南の方角に見える山並みはパミールに繋がる数千メートル級の支脈です(写真は先週のものですが)。

尚、タシケントから東に山を越えるとフェルガナ盆地に入ります。そこは北半分を天山、南半分をパミールの支脈に囲まれた文字通りの盆地で、やはり晴れた日には周囲を数千メートル級の山並みが囲んでいることが確認できます。フェルガナ盆地は両山系からの雪溶水に恵まれた肥沃な土地で、漢の武帝の時代には「大宛」という豊かな国であったことが記録(史記)にも残されています。

一方、この国の西半分は土漠地帯がほとんどを占める荒涼とした地域です。しかし、やはり天山とパミールを源とする両水脈によって奇跡的なオアシス都市が出現しました。サマルカンド、ブハラ、ヒヴァ、シャリサーブス・・・といったオアシス都市は破壊と再生を繰り返しながらも今なお隊商が往き来した時代の面影を深く残してくれています。

その土漠地帯に眠るエネルギー資源を求めて現代の隊商、いやジェット機に乗ったビジネスマンたちが続々とこの国を訪れています。数千年間にわたって培われてきた歴史が文化や暮らしがあっという間に塗り替えられてしまうのでしょうか?

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2008年11月 3日 (月)

晩秋のタシケントから

81103 今年4回目のタシケント訪問中です。晩秋のタシケントは街の趣きも心なし落ち着いており、写真のように街路樹は黄色く染まり、歩道は枯葉の絨毯となっています。

今、この国では、建物、商店といった街の外観から、服装、表情、仕草といった人々の様子、表面には現れないビジネス手法や、経済そのものの仕組みに至るまでのあらゆる局面において新しいものと古いものが同居し入れ替わろうとしています。これまで取り残されていたような地方においても変化への兆しはすでに隠せません。

サマルカンド、ブハラ、ヒヴァといった世界遺産にも指定されているシルクロードの古都群、周囲の環境を破壊しながら縮小を続けるアラル海問題、同組に入ったワールドカップ最終予選等で最近は日本でも話題に上ることも多いウズベキスタンですが、更に資源開発、地政学、民族構成、イスラム文化等々からの視点を考えると興味は尽きません。しかし、結局のところ、ビジネス上の関わりという皮相的な立場を超えることの出来ない限界もまた感じてしまいます。ちなみに先日、NPO法人「日本ウズベキスタン協会への個人参加を登録しました。この国への関わりだけは続けて行きたいと思っています。

PS : 今回の出張のために、METライブビューイングの「サロメ」を見損ないました。再上映あるいはDVD発売を待たねばなりません。残念!

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