『マティスとボナール展』@川村美術館
「地中海の光の中へ」と題したアンリ・マティス(1869-1954)とピエール・ボナール(1867-1947)展が佐倉市の川村美術館で開催されています(5月25日まで)。人気作家の展示だけに多くの人が訪れていました。
展示室内には眩(まやぶ)いばかりの光と色彩に溢れた全124点のコレクションが飾られていました。その殆どが人間と自然の生命力を感じさせる幸福な作品群です。想像力への力強い自信も漲っているようです。
マティスといえば大作「ダンス」や切り絵の「ジャズ」など躍動感に溢れた図柄をまず思い起こしますが、今回のコレクションでは初期から晩年に至る、明確な構図と明るい色彩に縁取られた鮮やかな作品群が並べられています。右の『黄色い服のオダリスク(1937)』でも明るいトルコ風の民族衣装とエスニックな調度品が地中海の穏やかな空気を運んでくれるようです。
一方のボナールも赤や緑の原色を基調とした鮮やかな作品群を描いています。風景画はどことなくセザンヌを思わせるところもあり、「最後の印象派」とも呼ばれる所以がそこにはありそうです(一方、マティスは「最初の現代画家」と呼ばれているとか?)。晩年の作品群では自らの色彩感覚を優先し、赤く染まった田園風景なども描いています。 左の『花咲くアーモンドの木(1947)』は死の3日前まで描いていた作品とのことです。色彩と生命力に満ちた一生だったのですね。
川村美術館の庭園は今、新緑に溢れています。館内の明るい地中海の色彩の渦から解放されると、鮮やか新緑が目に飛び込んできて気持を癒してくれます。この美術館は都会の喧噪から遠く離れていることも魅力のひとつです。
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