『ラ・ボエーム』@METライブビューイング
日曜日(4/20)のNYメトロポリタンオペラ(MET)ライブビューイングはお馴染みの『ラ・ボエーム』でした。METのData Baseによるとこの作品はMET上演回数のトップに位置しています(1900年から昨シーズンまでに実に1193回!)。ちなみに2位が「アイーダ」、3位が「カルメン」、そして「椿姫」「トスカ」「リゴレット」と続きます。モーツァルトはやっと16位に「ドン・ジョヴァンニ」が入ります(500回)。ちょっと意外でした。ヨーロッパとは順位がかなり異なるでしょう。例えば、ドイツでは恐らく「魔笛」が一位ではないでしょうか?次が「ばらの騎士」かな?
さて、今回の演出はやはりお馴染みのフランコ・ゼッフェレリによるものです。幕間にゼッフェレリ本人が登場するMETへの貢献感謝セレモニーの映像が流されていました。この豪華絢爛な演出はすでにスカラ座(1965年、2003年)、MET(1982年)などの映像盤もあり、すっかり定着化した感があります(生の舞台はフランクフルトの劇場で接したことがあります)。特に第2幕は豪華な装置と舞台上に溢れる出演者たちの存在感に圧倒されますが、一方ではMETによる完全主義的な美術や衣装も加えて、そのコスト増はいかばかりかと余計な心配が先立ってしまいます。個人的には第3幕の雪降るシーンが好きです。酒場の軒先のツララに至るまで細かい舞台装置と美術が徹底しています。
ヒロインのミミ役はアンジェラ・ゲオルギューです。A・ネトレプコ登場以前に元祖ビジュアル系ソプラノとしてヨーロッパ中を席巻したディーヴァの歌唱力、演技力は今もなお健在です。一種の余裕なのでしょうか?年齢を重ねて一回り大きくなった魅力を感じさせてくれます。いずれは年齢を超越してミミ役の第一人者であったミレッラ・フレーニのような存在になるのでしょうか?
ラモン・ヴァルガス(ロドルフォ)は容姿を別とすれば、甘く伸びるテノールがプッチーニ節にはピッタリとはまります。アインホア・アルテタは初めて聴くソプラノでしたが、蓮っ葉なムゼッタをよく演じていました。指揮のN・ルイゾッティはやはりイタリア人だからでしょうか、プッチーニの甘い旋律を思いっきり歌わしていました。この作品は理屈を超えてひたすらプッチーニ節を楽しむが勝ちですね。
今シーズンのライブビューイングも残りは一回となりました。ペリー演出、N・デセイの「連帯の娘」となれば見逃せません。
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