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2008年2月24日 (日)

イージス艦「あたご」の事故

80224 19日の早朝に千葉県野島崎沖で発生したイージス艦「あたご」と小型漁船「清徳丸」との衝突事故から6日が経過しました。漁船の親子は行方不明のままであり、防衛省と海上自衛隊からの情報は殆ど隠匿されたままです。

今日の千葉県地方は再び真冬の気温に戻ると共に20メートルを超える暴風が吹き荒れました。未だ手懸りのない親子の行方や親族の皆さまのご心労を思うとやりきれない気持ちになります。

それにしても防衛省と自衛隊の対応には、改めて軍隊機構というものの暴力性と反国民性を感じざるをえません。石破大臣がどう繕おうとも、情報は明らかに隠匿され、操作されています。すでに一週間近くが経とうというのに、極めて簡単な疑問、「いつ、漁船に気づいたのか?」「あの海域で何故自動操舵になっていたのか?」「レーダーによる監視はどうなっていたのか?」さえ明らかにされていません。今回の出来事はあくまでも「海難事故」であり、「軍事行動」ではありません。民間人を巻き込んだ事件に関する情報を「軍事機密」や「公務員守秘義務」を盾に隠ぺいすることは許されません。

さて、ここからは私論・・・。

そもそも、イージス艦などどいう代物は不要だと思います。現在、海上自衛隊が保有するイージス艦は5隻(更に一隻を建造中)です。本体だけで一隻1,200-1,400億円という高額の税金を使いながら、主要目的はミサイル護衛艦として「艦隊」や「施設」の対空防衛です。ここで「艦隊」とは?「施設」とは?  それが米空母艦隊であり、米軍や自衛隊基地、政府施設であることは自明であり、決して「国民」ではありません。

また、このイージス艦は陸上のパトリオットミサイルと共に米国主導によるミサイル防衛(MD)の一環としての役割も果たしています。前の記事でも述べましたが、このミサイル防衛に群がる産軍複合体と防衛省との間の癒着に税金が湯水の如く食い潰されようとしています。ミサイル防衛も軍隊も国民を守る存在ではなく、もはや、国民の健全な生活への権利を阻害する存在です。ましてや、防衛庁から防衛省へ、自衛隊から自衛軍への昇格は軍の機密性と暴力性を高めることこそあれ、透明性や文民統制からは逆行です。

今回の事故は、その閉鎖性や聖域性も含めて、今の防衛組織や自衛隊の存在位置を示すひとつの指標の役割を果たしました。今、国会では暫定税率や道路財源の一般予算化の議論が盛んですが、防衛費と防衛組織への大ナタはいつになったらふるわれるのでしょうか?

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2008年2月17日 (日)

映画・『嫌われ松子の一生』

80216_2 遅れ馳せながらCSにて放映されていた中島哲也監督の『嫌われ松子の一生』を見ました。実に面白い映画でした。これだけ悲惨な人生の転落物語を、全編にわたってユーモアとポップ感覚を溢れさせながら、更にはノスタルジックな詩情を漂わせながら、見終わった後には清涼感さえ与えてくれた映画体験は全く初めてのことでした。

中島監督の前作『下妻物語』も独特の映像と語り口でとても楽しませてくれました。前作がポップな青春映画なら、今回の『嫌われ~』は大人向けのファンタジーです。転落物語なのにファンタジー?でも、ご覧になった方なら誰もがそう感じることでしょう。見る人は、次から次へと襲ってくる不幸に翻弄されながらも、常に人を愛することに自分の幸せを求める主人公にいつの間にかすっかり共感してしまうでしょう。ラストでは、不幸の連続の果てにやっと再起への希望を抱いたにも拘わらず、突如、松子を襲うあっけない死(しかも殺人)に、思わず「お疲れさまでした」と心の中で呟いてしまいます。映画作りのなせる技と知りながらも、全編を通じて思わず感心してしまうシーンの連続、そんな作品です。

監督の手腕もさることながら主演者たちの個性と演技も実に魅力的です。なかでも松子を演じる中谷美紀といえば90年代の後半からその個性を発揮し始めていました。僕も当時、ドラマ「ケイゾク」は中谷ファンのひとりとして毎回欠かさず見ていました。この「嫌われ~」で彼女は昨年度(2006年度)の日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を始めとする各種の主演女優賞を総なめにしました。まさにそれに値する熱演、怪演です。また、折しも昨日(215日)発表された2007年度日本アカデミー賞においても優秀主演女優賞を獲得(自虐の詩)、残念ながら最優秀のV2は逃しましたが日本を代表する女優のひとりに成長しました。

もっぱらTVBSあるいはCS)での鑑賞ですが、最近の日本映画には「ALWAYS三丁目の夕日」「フラガール」「THE有頂天ホテル」等々の感動を呼ぶ作品、面白い作品が多いですね(HDDの中にはまだいろいろ眠っているぞ(^^;))。一方で、ハリウッド発の超大作なるものには最近はすっかり食指が動かなくなりました。頑張れ日本映画!です(ならば映画館に行けってか?)

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2008年2月 2日 (土)

6年ぶりのタシケントから

数日間の予定で、中央アジアの都市、タシケントを訪れています。かつて、ウズベキスタンでは二つの建設プロジェクトに携わり、この国とは長期滞在も含めて足掛け7年間にわたる深い付き合いがありました。今でこそシルクロードの風物や雰囲気を求めて多くの観光客がこの国を訪れていますが(成田/大阪より週2便の直行便もあり)、当時はビジネスや観光で訪れる日本人は僅かでした。たびたび政情不安も伝えられますが(1998年キルギス山中での日本人技術者誘拐、1999年タシケント連続爆弾事件、2005年アンティジャン暴動)、その賛否は別として、カリーモフ大統領による強力な政治統制により表面上の治安はすこぶる良好です。

先週までは、この地としては珍しくマイナス20度まで気温が下がったということですが、この数日は通常の冬の気温に戻っています。6年前に比べると、外資系ホテルが増えたのと、大通りに面して小奇麗で小さな商店が増えたのが目につきますが、基本的な変化は殆んどありません。市民の憩いの歩行者天国、Broadway(こちらではブラッドウェイと発音)の両側にひしめいていた露店、キオスク、屋台が全て消えていました。聞くところによると、視察に訪れたカリーモフ大統領が散乱するゴミに怒り、「撤去!」のひと声で決まったそうです。確かにタシケント市内の主な通りにはゴミひとつ見当たらず、整頓と清潔さが行き届いています。大統領の潔癖性によるものなのか、治安対策上の考慮も兼ねているのかは分りません。下の写真はブラッドウェイの横道に並ぶ青空絵画市場。かつての賑わいの復活は間近いのかもしれません。

明後日の便で帰国の途に着きます。

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