ミシュクのピアノリサイタル@千葉
特に予定のなかった三連休の初日、雑誌で見つけたピアノリサイタルにぶらりと出かけてみました。ピアニストのウラジミール・ミシュクはロシア出身で、1990年のチャイキフスキーコンクールでは第2位を獲得したとのことです。
プログラムはベートーヴェンの「悲愴ソナタ」に始まり、ドビュッシーの「アラベスク」、「月の光」他、リストの「愛の夢」、「ラ・カンパネラ」他、ショパンの「幻想即興曲」「英雄ポロネーズ」他といった、いわゆる名曲と小品のオンパレードです。もう一つのやはりポピュラーなプラグラムと共に全国を回っているようですが、モトを取らねばならない招聘元と日本を絶好の市場とするロシア人ピアニストとの思惑が一致すると、このようなプログラムになるのでしょうか。一方、地方や地域でのクラシック音楽普及にはそれなりに貢献しているのかもしれませんが・・・。
会場の千葉市美浜文化ホールは新興住宅商業地域の真ん中に位置し、いかにも今流行りの文化行政によるハコモノらしく、音響に優れた350席の快適な中ホールでした。昼間の公演ということもあり、家族連れと年配女性が多いように思われました。ブーニン、キーシン、ポゴレリッチたちを支持してきた層が年代を超えて続いているのでしょうか?
さて、肝心の演奏ですが、力強い一方で荒削りな印象を受けました。音が濁っているような感じで、強音が割れたり、弱音部でもピアノ独特の香るような粒立ちが聴こえてきません。ピアノ(スタンウェイD274)とホール音響がマッチしていないのでしょうか?
また、技巧は別として、ミシュクのそっけなさも目立ちます。新鮮味の無さはプログラムのせいとはいえ、プロである以上はもっと聴衆を強く惹きつける個性を示してもらいたいものでした。会場がそれなりに沸いたのはミシュク自身によるものではなく、プログラムの中のリストやショパンのヴィルトーゾ性によるものでしょう。アンコールのシューマンでやっと本気の一端が披露されていたように感じましたが遅すぎです。「悪くはない」けど「面白みも少ない」演奏会でした。
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