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2007年5月 6日 (日)

続・IPCCによる温暖化報告書

Vista PCへの乗り換えに加えて公私共に多忙な日が続き、気がついたらGWも終わろうとしています(悲しい・・・)。

さて、

先月のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)2作業部会報告「温暖化の影響予測」に続いて、第3作業部会報告「温暖化対策」が発表され、昨日の新聞に大きく採り上げられていました。排出枠取引についてはなかなか理解が難しい点もあるのですが、簡単にまとめると以下のようになるようです。70506ipcc_1

(1) 気温上昇を産業革命以前比で2.0-2.8度の上昇に抑えるためには2015-2020年までに排出量を減少に転じさせ、2050年には半減させなくてはならない。

(2) 排出枠取引等でのCO2価格を50$/tonとした場合の対策費はGDPの約3%

(3) 風力、バイオ等の代替再生エネルギー、省エネ技術等の例示

まず、気温上昇の許容範囲ですが、第2作業部会報告書をもとに前回も書いたように、人間活動と社会発展を持続する上での許容範囲は1990年比で2度の温度上昇(CO2換算濃度550ppm)と言われています。産業革命以前(280ppm)と比べると1990年時点ですでに0.6度上昇していますから、上の2.0-2.8度は許容範囲ギリギリということになります。

しかしながら、今後、温室効果ガスの排出の大幅増加を避けられない中国の強い主張により上昇許容範囲6度のシナリオを追加しています(CO2換算濃度1000ppm!)。この場合、地球が壊滅的な状況に陥るであろうことは明白です。各国の足並みの乱れが収まりません。

排出枠取引については、1997年の京都会議にて各国の目標値(日本はマイナス6%)と共に「柔軟性処置」のひとつとして採尺されています。排出目標の削減が困難な国(あるいは地域、)が目標以上に排出削減可能な国から排出権を購入しようというもので、すでにEU域内や米国企業間では実施されています。しかし、この方法は排出枠を買って削減目標値を「稼ぐ」ことで、自国内での削減意欲を削ぐとの批判もあります。炭素税等の直接賦課手法がより「効果的」であることは言うまでもありません。炭素税については産業界が猛反対するであろうことは明白ですが、すでにオランダや北欧諸国においては環境税として導入しており、環境先進国として再生エネルギーへの転換にも積極的です。

新技術については原子力発電の利用について米欧で見解が分かれたようです。核拡散、廃棄物処理の問題に加え、万一の大事故の場合は放射能の恐怖が私たちを襲うことになります。東西冷戦時に、核戦争の結果として放射能の塵がやがて太陽熱を遮断する「核の冬」という言葉が使われました。「地球温暖化」を「核の冬」に置き換えてはなりません。

地球温暖化を少しでも食い止めようと、国民ひとりひとりの意識も大きく変化してきたように感じます。このことが更に膨大な量の温室効果ガスを排出し続ける産業界への圧力と政府の取り組み姿勢への監視という形で発展していくことが出来ればと思います。

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コメント

こういうニュースを聞くたびに心が痛くなります。
東京でもビルの建設ラッシュですが、この力をビルの屋上緑化計画や、日本の食べ物は日本でと自給生活を進めてほしい。
1人1人のちょっとの意識でも意識の改革をしていく必要があるとおもいます。
でも、今朝の番組でも保育費を滞納している人が多いと聞きモラルのない家庭が多い事と環境は比例しているように思います。

投稿: おぺきち | 2007年5月 8日 (火) 16時56分

おぺきちさん、
そうですね。地球環境問題の話を読み聞きする度に次世代への責任を感じて重い気持ちになります(石油産業に深く関わってきただけに尚更・・・)。でも、落ち込むだけでは何も解決にならないので、せめて発言と環境NGOへの支援だけは続けようと思っています。

今夜はおぺきちさんのblogに刺激されて、「ラプソディ・イン・ブルー」を聴きながらの書き込みです。気持ちが少しスウィングしてきました♪

投稿: YASU47 | 2007年5月 8日 (火) 21時55分

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