IPCCによる温暖化報告書
昨日(4月6日)、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次報告書が発表されました。その晩のTVニュースと翌日の新聞で報道されていましたが、松坂大輔の活躍の陰に隠れてしまったようです。
さて、この報告は地球温暖化の現状の深刻さを改めて浮き彫りにしています。シュミレーションによれば、2020年代(あと十数年後!)の気温上昇幅(1990年比)は0.5-1.2度、2050年代は1.0-3.0度、2080年代には1.3-5.3度と予想しており、それぞれの予測被害影響が報告されています。影響はまず、干ばつ、洪水、熱波、感染症の拡大といった形で低緯度に位置する発展途上国に現れると予測されています。海面上昇が大洋上の諸島に与える致命的な影響も深刻です。それが次第に全地球へ破滅的な影響を与えようとしています。
これらが化石燃料の使用に伴う温室効果ガス(主にCO2など)の発生増加によるものであることはすでに疑いの余地はなくなりました。この間、一部の利害を有する国家(米国、ロシア、中国、産油諸国)や産業界からの異論により因果関係の特定と国際協調にブレーキがかかっていましたが、事象の深刻化(米国におけるハリケーン被害の影響等)、大気中のCO2濃度と気温上昇との因果関係の明確化等により、やっと各国によってこの問題が全人類にとっての最緊急課題として認識されたと言えるでしょう(米国は1997年の国連京都会議議定書を未だ批准していませんが)。
産業革命以前の大気中の温室効果ガスはCO2換算で280ppmと言われています。それが現在では430ppm(平均気温1990年比約0.5度の上昇)に増加しました。産業も含めて人間活動と社会発展を持続する上での許容範囲は550ppm(1990年比2度の温度上昇)と言われています。この数値が人類にとって死守すべき数値です。
京都議定書での日本の温室効果ガス削減目標は6%(1990年比)でした(環境省主導による「チームマイナス6%」として官庁や多くの企業、個人が運動に参加)。昨今の予想を超える深刻さに、今、ヨーロッパ諸国では8%の削減目標を更に20%削減にまで拡大しようとしています。今回のIPCC第4次報告書を契機に削減へ向けた一層の運動の拡大と抑制対策への投資を望むものです。
ところで、このブログの左欄に数ヶ月前から「FoE Japan」のリンクバナーが貼ってあることにお気づきでしょうか?これは世界70ケ国に100万人のサポーターを持つ国際環境NGO「Friend of Earth」の日本ネットワークで、私もサポーター会員のひとりです。環境NGO(NPO)としては他にも「2050」「地球村」「CASA」等、団体としては「Green Peace」「WWF(世界自然保護基金)」等がありますが、ヨーロッパにおけるこうした草の根市民運動の参加者数に比べると圧倒的に少ないのが実情です。皆さんも地球温暖化防止に向けた一歩としてこうしたNPO、NGOへの参加はいかがですか?
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コメント
おはようございます。
温暖化心が痛みます。
気づいた事を少しづつ個人レベルでやることも大切ですね。
私も微力ながらやっていきたいと思います
投稿: おぺきち | 2007年4月 8日 (日) 10時23分
おぺきちさん、
音楽以外の話題でもコメントを戴けるのはとても嬉しいです。
僕の年代になると、いかに健全な地球を次世代へ渡すことが出来るのかということがとても気懸かりなのです。無自覚のまま、散々エネルギーを浪費してきたことが悔やまれます。おぺきちさんの言われるように、個人レベルでの微力な活動と意識改革も大事ですね。
投稿: YASU47 | 2007年4月 8日 (日) 14時23分
温暖化は想像するだに恐ろしいです。以前空調業界に身をおいていましたが冷凍・空調の分野ではフロンの製造・回収がずいぶん進んだように思われます。これからはやはりCO2削減が中心課題になるのでしょうね。また来ます。
投稿: カフェマスター | 2007年4月 8日 (日) 16時14分
カフェマスターさん、コメントをありがとうございます。私もプラント建設業界に身を置いていますので化石燃料問題は他人事ではありませんし、設備にも関心があります。
冷凍・空調分野では代替フロン系(HCFC等)に入れ替えが進んでいるようですが、それらも近い将来には全廃されることになるとか。冷媒もかってのようにアンモニアやブタンが主流になっていくのでしょうか?
カフェマスターさんのblogも環境問題が多く採り上げられていますね。ちょくちょく寄らせていただきます。
投稿: YASU47 | 2007年4月 8日 (日) 20時03分