終わらぬ悲劇・・・『Iraq Body Count』
イラクにおける宗派間テロ、米軍による破壊行為が止みません。ブッシュ政権は21,500人の米軍増派を決定し、すでに第一陣はイラクに到着しています。このような状況下、数ヶ月ぶりにNGO「Iraq Body Count (IBC)」のサイトにアクセスしてみたところ、Min. 54,432 - Max. 60,098名という市民死者数の集計値(2006/12/30まで)が掲載されていました。
前回報告(9/23)の43,209 - 48,046名と比較すると約3ヶ月間で1万人以上の増加であり、平均して毎日、115 - 124名の市民が殺されていることになります。これは、イラク侵攻開始1年目の20人/日、2年目の31人/日、3年目の36人/日、そして昨年前半の60人/日に比べて格段に増加した数値であり、この半年間で治安が一層悪化し、悲惨さが増幅されたことに他なりません。
また、Lancet Medical Journal(英国の医療情報誌)によれば、イラクにおける総死者数は65万人を超え、2006年の前半は平均して毎日1,000人(何と!)が殺されたと報じています(10/26 IBC内記事)。
どちらの集計がより現実に近いのかは別として、これらの数字には改めて愕然とせざるをえません。私たちはともすれば陸上自衛隊の撤退後(空自は未だ米軍に協力して活動中)はイラクの現状を何処か遠い出来事のように感じてしまいがちです。しかし、日本政府が、国連や多くの諸国の反対を押し切ってのブッシュ政権による一方的なイラク侵攻を容認したばかりか、派兵協力さえ行ったことにより、現在のイラクの惨状への責任の一端があるということに今だに反省の表明がありません。また、そのような政府の行為を許した私たち国民の責任も大きいと言わざるをえません。
個人で出来ることは限られています。しかし、最低限、イラク問題にこだわり続けること、毎日100名以上の命を失われていく惨状に心を痛め、弱者や侵略を受ける側に立った上での想像力を養うことから出発したいと思っています。
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コメント
戦争の悲劇は、野次馬では分からないものがありますよね。
数字を感情抜きで見てしまうと、ことの重大さが理解できないままになってしまうかもしれません。
日本人は、たかだか60年前の、自分たちの悲しい記憶を、もう忘れてしまっているのかしら?
私はいわゆる戦後生まれですけれど、家業が戦災を原因に傾いたり、家庭が崩壊した話を母にきかされて育ったので、イラクにそういう人たちがたくさんいらっしゃるのだろうと思うと切なさでいっぱいになります。
祖父は南京へ出兵したのですが、
「中国の人は親しみやすかった」
と、楽しかった思い出は口にしたものの、南京大虐殺(祖父の出兵はその後でした)は
「日本人もひどいことをしたんだな」
程度しか口にせず、また戦闘の話も一切しないままこの世を去りました。
自ら銃にあたって負傷していたのですけれど、どういう場面でそうなったのかも、とうとう聞かずじまいでした。
そんな祖父が、つまらぬ恣意から始まったイラク戦争が、今なおこうした悲劇的状況を続けていることを知っていたら、何と言っただろうか・・・
投稿: ken | 2007年1月24日 (水) 16時46分
kenさん、
そうですね。単に数字を眺めただけではコトの重大さを理解するのは難しく、痛みを感じることの出来る心と想像力、好奇心などがそこには必要ではないかと思います。TVや新聞(音楽も?)でも受身から脱却し、自分から求める姿勢が問われているのかもしれませんね。
戦争体験の風化が言われる中で、父母の世代の空気を知る団塊の世代(私の場合)の責任の大きさを感じざるをえません。
投稿: YASU47 | 2007年1月25日 (木) 00時00分
大量破壊兵器という言いがかりでイラクを攻撃して多数の犠牲者を出したブッシュは許しがたいです。そして今またイランに言いがかりをつけて攻撃しようとしている。
イランは3年前に旅行しましたが、細密画や細かいアラベスク模様が美しいモスク、木造の宮殿や薔薇が咲く庭園、イスファハンの古い橋も街、壮大なペルセポリスの遺跡など、古くからの文化が生きる美しい国でした。人々は明るくて教養がありました。
他の国とも協力して、こういう一国の暴力を止めさせられればと思います。
投稿: LENI | 2007年1月28日 (日) 01時11分
LENIさん、
米国あるいはイスラエルによるイラン攻撃が取りざたされています。イラン側も核開発をめぐる際どい外交戦術を繰り返していますが、どちらも暴発しないことを祈るばかりです。各国の政治指導者たちは他国の宗教や歴史、文化に対する畏敬の念というものを持つことが出来ないのでしょうか。
投稿: YASU47 | 2007年1月28日 (日) 21時33分