映画『不都合な真実』
封切り中の『不都合な真実』を観ました。何の予備知識も持たずに出かけてみたのですが予想を超えたアル・ゴア氏の語り口の巧さに引き込まれた1時間半強でした。先の大統領選挙での敗北後、ゴア氏は環境問題、とりわけ地球温暖化への警告の伝道師として世界中を講演して回っています。この映画はスライドやフィルムを多用したそれら講演内容の映像化ともいうべき映画で、まるで大学の講義を聴講しているような新鮮な気分を味わうことが出来ました。
内容はCO2濃度と気温の関係をまず明らかにし、更に温暖化が海流や気象、生態系、海面上昇等に与える影響を映像を駆使しながら具体的に分りやすく説明しています。最後に「現状の認識と身の回りで出来ることからはじめよう」「米国は京都議定書の批准を」「未だ諦める必要はない。人類の知恵によって解決は可能である。」と結んでいます。深刻な状況への警告と共に人類の能力への信頼を表明しています。一部に同意出来ない政治的発言もありましたが、それでも、改めて環境問題への再認識をさせられる一方で、解決への希望をもらうことが出来ました。より多くの人に見てもらいたい映画です。
かって、自分が最初に認識した環境問題といえば1970年代の「水俣」「四日市」「阿賀野川」等に代表される所謂公害問題でした。主に工場からの排水、排ガス、廃棄物による汚染被害が中心でした。先日逝くなられた宇井純氏主宰「自主講座」での記録をまとめた「公害原論」や石牟礼道子著「苦界浄土」に影響を受けたものです。これらの裁判は一応の決着や和解をみていますが、患者の苦しみは未だ終わっていないものと認識しています。その後の行政と企業側の一定の努力、地域住民による監視の強化等により環境保護にかけるべきコストへの認識も高まり、日本においては大気、河川等の汚染は大幅に軽減しました。一方で、80年代以降も、現在に至るまで公害工場の海外移転、核汚染、地下水汚染、薬害、日照、アスベスト汚染等による新たな被害が多く出ています。しかし、温暖化に代表される地球環境問題に関してはあまりにも規模が大きく、しかも変化が緩慢(映画の中ではカエルの例で的確に表現していました)であるために自覚が難しく、ついつい直視を怠ってきたということがあります。
以下の映画連動URLに私たちが出来ること、として29項目が挙げられています(USサイトからの転載のため必ずしも当てはまらないものもありますが)。
http://www.futsugou.jp/takeaction/index.html
国や企業による努力は勿論のことですが、それらを構成している私たち自身が変わることが第一歩でしょう。諦めたら終わりです。子供たちに破壊された地球を渡すわけにはいきません。及ばずながら私自身も常に意識をもった行動を心がけたいと思っています。
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