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2006年10月28日 (土)

『サンセット大通り』の映画化?

映画『サンセット大通り』といえば1948年のビリー・ワイルダー監督による名作を思い起こされることでしょう。今回の話題は来年後半に公開されるであろうというミュージカル版『サンセット大通り』についてです。

ミュージカル『サンセット大通り』は1993年にロンドンのAdelphi劇場で初演されました。Thumbnail 1948年の映画に忠実に基づいた脚本、演出とアンドリュー・ロイド・ウェバー(ALW)の音楽が相乗効果を生み、実に素晴らしい作品に仕上がりました。まず、脚本がしっかりしているということでドラマ性が高く、それに加えてALWの計算しつくされた音楽が加わるのですから感動を呼び起こさない筈がありません。ALWの作曲能力は前作『オペラ座の怪人』で出尽くされてしまったとの評もありましたが、そのようなことは全くありません。「Surrender」「Only One Look」「Girl Meets Boy」「The Perfect Year」「As If We Never Say Goodbye」「Sunset Boulevard」などは旋律美に秀でた名曲群です。

私はこの舞台をロンドンで3回、ドイツ(ヴィスバーデン近郊の専門劇場)で1回観る機会があり、合間に繰り返し全曲盤CDを聴くことも含めて、すっかりこの作品の虜になってしまいました。同じALWでも『キャッツ』は純粋に音楽とダンスを楽しむための作品です。『エヴィータ』は音楽が素晴らしく脚本もしっかりとしていて傑作だと思います。『オペラ座の怪人』は最上の音楽を聴かせてくれますが、物語性に今ひとつ乗ることが出来ません。子供たちの活躍する「Wistle Down the Wind」は美しい舞台と音楽を楽しむことが出来ます。また、同じウェストエンド発の『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』もそれぞれ素晴らしい作品で、ALW作品と共にロンドン・ミュージカルの隆盛に果たした役割にはとても大きいものがあります。

これらロンドン作品の中でも『サンセット』のドラマ性は抜きん出ています。舞台が現代であること、脚本がしっかりしていることに加えて、主役のノーマ・デズモント役の狂気へと至る演技力に負うところが大きいのでしょう。私が観たのはかって「Down Town」のヒットで有名なペトラ・クラークでした。ひたすら舞台に集中を続け、ラストシーンでは涙が止まりませんでした。しかし、このノーマ役といえば、抜群の歌唱力を持つエレン・ペイジ(West End)と歌える名女優グレン・クロース(BW)が双璧でしょう。G・クロースは全曲盤CDが出ており、E・ペイジはCDEncore」に数曲が含まれています。

このミュージカルがロングラン以前に打ち切られることになったのは、舞台装置にコストがかかり過ぎたことと、ノーマ役を演じることの出来るベテラン女優が続かなかったことだと言われています。際立った演技力と歌唱力を求められる、それほどの難役です。

ミュージカル映画版『サンセット』ではG・クローズがノーマを演じるそうです。若い脚本家ギリス役には『ムーラン・ルージュ』で甘い声を披露していたユアン・マグレガーとのことです。とても期待できます。あとは、映画版『オペラ座の怪人』のように説明のための台詞過多により音楽性が損なわれてしまった愚を繰り返さないことを願うばかりです。封切りまであと1年がとても待ち遠しく思われます。

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2006年10月22日 (日)

秋の北総歴史ウォーキング

最近、あちこちの駅に沿線のウォーキング案内のチラシがおいてあるのが目につきます。今回はそんな沿線ウォーキングの中から北総線の小さな旅をご紹介しましょう。

北総線(旧北総開発鉄道)は京成高砂駅から印旛日医大間の約32Kmを主に千葉ニュータウンの中央を貫く路線で、2010年には成田空港までの延伸が予定されています。京成線、都営地下鉄との相互乗り入れにより千葉ニュータウン住民の通勤の足として利用されています。夏場は駅舎に飛び込んでくる蛾や羽蟻が都営地下鉄に持ち込まれるとの苦情もあるようです。一時は開発が進まず問題になっていた千葉ニュータウン沿線も巨大商業施設が立ち並ぶようになり、最近の発展ぶりには目覚しいものがあります。61022_5

さて、そんな北総線の駅舎で見つけた二つのウォーキングコースを巡ってみました。

白井七福神めぐり~その3

その3と言うからには、その1とその2もあるのでしょうが、ここでは割愛。北総線「小室駅」から東に向かい薬王寺、北に折れて白井市民の森、運動公園、南に転じて、秋本寺、仏法寺を経て「白井駅」に戻る約13キロのコースです。主に田園風景の中を歩きます。

印西史跡探訪

北総線「千葉ニュータウン中央駅」から南の北総花の丘公園、結縁寺、頼政塚、多聞院、草深の森、牧の原公園を経て「印西牧の原駅」へと至る約11キロのコースです。 主に里山風景の中を歩きます。

いずれも、程よいウォーキングコースで小さな寺社を巡りながら道沿いの風景や草花、秋の空気を楽しむことが出来ます。大きな驚きはありませんが、小さな楽しみを見つける旅ですね。

例えば、頼政塚というとてもこじんまりとした碑があります。61022_3 これは源頼朝と同族の源頼政が1180年に挙兵したものの平家に破れ宇治平等院で自刃した際、自らの首が敵に晒されるのを嫌い、家臣に「首級を背負って東国に逃れよ」と遺言し、家臣は二十日余日馬を走らせてこの地に着いた処、急に首級が重たくなったことからここに埋葬したというものです。真意の程は分かりませんが、下はこの地に伝わる民話です。

http://www.pref.chiba.jp/syozoku/e_bunka/bunkajyouhou/minwa/inzai06.html

更に調べてみると、同じ頼政塚というものが京都の亀山にありました。墓所としてはこちらの方が立派で、本家争い(するつもりはありませんが)では北総の頼政塚は分が悪そうです。でも、歴史の小さな不思議のひとつですね。

http://www.ne.jp/asahi/meitei/pedantry/field/rakugai/yorimasa.html

伝承をもうひとつ。61022_2 北総線「印旛日医大」駅から北に少し歩いたところに「松虫寺」という一風変わった名前のお寺があります。 これは奈良時代、聖武天皇の皇女の松虫姫伝説に基づくものです。この地域に中央の農作、機織等の技術が伝えられた契機でもあるとの言い伝えですが、その時代に都から皇族、それも病人が牛車で地の果てとも言えるこの地まで本当にやってくるだろうかという疑問も残ります。

http://www.publicart.co.jp/iniwano/matsu_densetsu.html

北総にはこんな小さな歴史ロマンがあちこちに点在しています。ウォーキングに加えての楽しみです。

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2006年10月14日 (土)

フレンチ・ソプラノ@YouTube

これまでも若きフレンチ・ソプラノ、パトリシア・プティボンについては何度か紹介してきました。61015petibon 今回は何かと話題のサイトYouTube上での映像発見のお知らせです。かなりマニアックな話題ですので、クラシックファン以外の方は読み飛ばして頂いて結構です(^^;)

http://www.youtube.com/results?search_query=petibon

この映像はどうやらアルバム『French Touch』をテーマにしたコンサートの模様です。コンサートといってもバックはピアノとチェロのみという、こじんまりしたものです。画質と音質がかなりお粗末なのはやむを得ないでしょう。プティボンは『French Touch』のジャケットでお馴染みの突飛な髪型と萌え~なコスチュームで登場、とてもクラシック歌手とは思えません(^^;)。歌は同アルバムからドリーブの歌曲「カディスの娘たち」です。持ち前の豊かな表情と自由奔放な歌いまわし、コミカルな仕草で会場を沸かせていますが、やはり何といってもW・クリスティやN・アーノンクールからの薫陶を受けた逸材であり、声の美しさと歌の巧さは大きな魅力です。

そのプティボンの向かう先での輝かしい存在がナタリー・デセイです。さすがに彼女の映像はYouTube上にも数多く登録されています。

http://www.youtube.com/results?search_type=search_videos&search_query=nataly%20dessay&search_sort=&search_category=0&page=1

十八番のリシュー(ルチア)、オフェリア、オランピア、ツェルビネッタ等に加えて、キャンディード(バーンスタイン作曲)からクネゴンデという珍しい映像もあります。

この二人は来年の5月、11月に各々来日するとのことです。2007年はフレンチ・ソプラノの年になるのでしょうか?

(2007.1.16 追記) 「French Touch」のコンサートDVDというものがあります(国内販売はなし)。レビュー記事はここ

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2006年10月11日 (水)

北朝鮮による核実験という暴挙(その2)

前回の書き込みに続いて気になる数値を紹介しましょう。

1.国別核実験の回数

http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/abm/qa/heiwa_j/kaisu.html

http://en.wikipedia.org/wiki/Nuclear_testing#Nuclear_testing_by_country

2.国別核弾頭保有数

http://www1.city.nagasaki.nagasaki.jp/abm/qa/heiwa_j/map1.html

http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_with_nuclear_weapons

今回の北朝鮮による核実験以前に、1945年以来、実に2050回にわたる核実験が行われています。国別では米国の1030回、旧ソ連の715回が抜きん出ています。ある時期までは大気圏内の核爆発が中心であり、ネバダ砂漠、現カザフスタンのセミパラチンスク、南太平洋のクリスマス諸島(英国による)、ムルロア環礁(フランスによる)、新疆地区などが核物質の飛散によって大きく汚染されました。 61011nuclear_2 1954年の米国によるビキニ環礁での水爆実験ではマグロ漁船第五福竜丸の船員23名が被爆しました。ネバダ砂漠では先住民を含む多くのアメリカ市民が被爆しています。多数の西部劇映画が撮影されたことからガンで亡くなったジョン・ウェインをはじめ多くの映画関係者が被爆したと言われています

<第五福竜丸について>

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%BA%94%E7%A6%8F%E7%AB%9C%E4%B8%B8

<広瀬隆著「ジョン・ウェインはなぜ死んだか」>

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4163424903

話しが少しずれました。

このように核を独占している米、ロ、中、英、仏の常任理事各国が北朝鮮に対して果たして非難なり制裁を主張する権利があるのだろうか?という疑問は誰もが持ちます。しかし、私たちは現実から出発しなくてはなりません。核のこれ以上の拡散を防ぐこと、核保有国を増やさないこと、まだ不十分な核弾頭の削減を更に推し進めることは重要です。装着核弾頭数は米ソ間の「戦略核兵器削減条約」以降、約60000発(1985年)から20,000発(2002年)に削減されたと言われています。まだまだ不十分ですが、人類は愚かな核抑止論と軍拡競争のツケを乗り越えねばなりません。

そのためにも、核非保有国が更に発言力を増すこと、日本が平和憲法の重みを世界に向けて発信することが大事だと思います。

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2006年10月 9日 (月)

北朝鮮による核実験という暴挙

本日、北朝鮮政府が核実験を先日の予告通りに実施したことを発表しました。61009nuclear1 東アジアの安定を損ねるだけでなく、核の廃絶と平和を願う全ての人々に対する冒涜であり暴挙です。核を自らの政権延命のための交渉カードとして使用するということは自国民を人質にとるのに等しい野蛮な行為です。周辺国国民の安全への脅威となるだけではなく、北朝鮮自国民への裏切り行為です。このことを多くの北朝鮮国民はすでに気づいているのではないでしょうか?ますます増加する脱北者の存在はベルリンの壁崩壊前夜を思い起こさせます。 例え強力な情報統制下と弾圧下にあろうと、人々は決して衆愚ではありません。国連や周辺国による制裁の強化のみならず内部からの立ち上がりによってこそ、この暴力的な政権の崩壊が成し遂げられると思います。

今回の暴挙によってこの独裁政権は将来への存続の可能性を自らますます狭めたといえるでしょう。しかし、その着陸点が暴力的あるいは破滅的であった場合は北朝鮮国民のみならず、韓国民、場合によっては日本国民にも大きな犠牲を伴います。これから始まる諸制裁にあたっては如何に平和的に新政権へのソフトランディングを図るかが鍵であり、検討が必要と考えます。多くの難民の流出、巨額の復興支援の必要性等は必然です。

日本は単に制裁を声高らかに歌い上げるだけではなく、また、米国や中国、ロシアの思惑によるものではない、ソフトランディングへの道筋を、直接の当事者である韓国ならびに出来れば朝鮮総連と共に協議を行ってもらいたいと思います。

また今、日本への脅威を声高に主張することは何の解決にもなりません。必要なのは武装化や戦争への勇ましい覚悟ではなく、北朝鮮の人々と痛みを分け合う覚悟をもった平和的手段での金正日政権崩壊への促進です。経済活動、文化活動、啓蒙・宣伝活動、法的正義、そして平和憲法を武器にしての戦いではないでしょうか。

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2006年10月 5日 (木)

DVD『RENT』の発売

映画盤「RENT」のDVDが発売されたので早速購入しました。この作品の素晴らしさについてはすでに多くが書かれ、語られています。RENTファンのひとりとして僕自身も5ヶ月前のblogで映画の感想を書いています。61009rent_cast

さて、このRENTという作品、繰り返しになりますがプッチーニの「ラ・ボエム」を下敷きにしています。しかし、場所をパリの片隅からニューヨークのスラム街に移し、ロドルフォたちをHIV患者にしただけでなく、更にミミはSMクラブのダンサーで薬漬け、コッリーネとショナールはホモ、ムゼッタはレスビアンという、正統派オペラファンにはとても耐え難い(^^;)大胆な設定変更を行っています。であるにも拘らず、この作品に満ち溢れる音楽と人間愛は実に感動的なのです。

11月には再びBroadwayのカンパニーが来日公演をするとのことです。映画も素晴らしいのですが、やはり舞台での感動にはかないません。ロンドンで最初に見た時は衝撃でしばらく席を立つことが出来ませんでした。その後、CD全曲盤を繰り返し聴き、メロディと歌詞を頭に中に入れてから再々度劇場に足を運びました。

2003年の最初の来日公演にも行きましたが音が割れてしまい失望でした。今回も同じ、厚生年金ホールとのことなので前回に懲りて出かけることはせずにDVDで我慢することにします。

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