今日のイラク
前回イラクの記事を書いた3月20日から丁度半年間が過ぎました。再びNGO ”Iraq Body Count”のサイトを見ますと、イラク民間人(戦闘員は除く)の死者累計は43,269(min.)-48,046(max.)となっています。 すなわち、この半年間で約1万人の民間人が殺されたことになり、一日あたりの平均死者数をイラク侵攻開始時から比較すると、1年目20人/日、2年目31人/日、3年目36人/日、そしてこの半年間は何と60人/日!に急増しているのです。これは主に宗派間のテロによるものであり、それに米軍による殺害や誤射が加わります。
この数字にはあらためて衝撃を受けました。イラク問題は終わっていないのです。それどころか、人々の犠牲と苦しみは増しているばかりです。今や米国人の半数以上さえもが戦争は過ちであったと認識しているにも拘らず、面子にこだわるブッシュ政権は治安回復の手段を持たないまま米軍を居座り続けさせています。ブッシュ政権の誤った政策はイラクを泥沼化させ、民間人を殺し、市民の尊厳を傷つけてきただけではなく、戦火を更にアフガン、レバノンに拡大させ、イスラムの人々を敵視することにより世界をますます不安定化させています。
翻って日本においては、大量破壊兵器の存在やアルカイダとの関係といった戦争開始への小泉政権による支持理由はことごとく否定されてきたにも拘らず反省の言葉はひとつもありません。一方で、陸上自衛隊が一発の銃を撃つこともなく帰国することが出来たのは奇跡的とも言える出来事です。派遣地域が安定していたという幸運にも助けられましたが、最大の理由は第二次大戦後、営々と積み上げられてきた平和国家日本のイメージがイラク国民の中に存在したことと、皮肉にも平和憲法の存在であったと考えられます。憲法9条に明文化されている「武力行使の放棄」と「交戦権の否定」という歯止めが誤った派遣をかろうじて最悪の事態から救ったといえます。しかし一方で航空自衛隊は増強の上、活動地域を広げていることを忘れてはなりません。上述したような「幸運」はいつまで続くか分かりません。イラク侵攻支援という誤った判断への反省とそれに基づく行動こそが国際社会への責任を果たすことと考えます。
来週には憲法改定への意欲を堂々と掲げるこれまで以上に危険な政権が日本に誕生しようとしています。平和を守る戦いはこれからが正念場です。
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