ローマ歌劇場日本公演『リゴレット』
渋谷のオーチャードホールでローマ歌劇場の日本公演、ヴェルディの『リゴレット』を観ました。お目当ては円熟期の続くR・ブルゾン(リゴレット)と人気の美人ソプラノE・メイ(ジルダ)です。
オーケストラや合唱団も含めた大掛かりな引越し公演はイタリアの歌劇場の華麗な雰囲気をそのまま持ち込んだようでした。その分、チケットが高価になるのは問題ですが、日本に居ながらにして本場のヴェルディオペラの伝統を感じさせてくれるのは貴重な機会といえます。管弦楽は決して力任せではなく、むしろアリアや重唱をじっくりと聴かすことに慣れた演奏といえます。また、オールイタリアンの出演者たちの伸びやかな歌声はヴェルディを聴く悦びを与えてくれました。
1936年生まれのブルゾンは1幕2場のジルダとの2重唱の場面では僅かな息切れを感じましたが、それでも経験と円熟を感じさせる見事な歌唱でタイトルロールの難役を演じきりました。
メイの凛とした美声は期待以上でした。ヴェルディには細すぎる声かなという心配は全く杞憂に終わり、正確で安定した歌唱は深い感銘を与えてくれました。舞台姿は美しく、多くの映像作品でお馴染みの魅力的な表情をオペラグラスでじっくりと眺めさせてもらいました。1969年生まれのメイはモーツァルトからヴェルディとベルカントのリリコ諸役ではすでに第一人者ですが、これからますますレパートリーを広げ、歌手としての絶頂期を迎えるのでしょう。今後も注目です。
マントーヴァ公爵役のS・セッコというのは初めて聴くテノール歌手でした。ジルダよりも小柄という舞台上のハンディはありましたがカレーラスを思い起こす美声の持ち主でした。
ということで、とても満足な公演でした。劇場にはそう頻繁に出かけることの出来る身分ではありませんが、やはり生の公演に勝るものはなく、また次の機会を窺うことにしましょう。
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