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2006年7月17日 (月)

マスネ歌劇『ウェルテル』

音楽(オペラ)の話題が続きます。今回はフランスの作曲家マスネが1887年にゲーテの「若きウェルテルの悩み」を下敷きにして創り上げた「ウェルテル」のDVD盤です。美しく甘美なメロディとメランコリックな響きが特徴で、各幕間の間奏曲は後の印象派作品への前触れを感じさせます。

勿論、大衆作品としてのオペラである以上、原作の持つ文学性や人物の掘り下げ等、不朽の名作としての価値の踏襲には限界があります。それでも、この作品は音楽の力によって格調の高い、誠実な舞台劇に仕上がっています。

僕がこの作品を初めて観たのはもう随分と昔、1989年に出張で訪れたウィーンで偶然、国立歌劇場のチケットが入手出来た時でした。何の予備知識もない観劇で、かろうじて学生時代に読んだ原作によって物語展開についていくのが精一杯でした。それでも、音楽の美しさに耳を奪われ、季節毎の公園の彩りを模した舞台の美しさには目を見張りました。ソフィー役の日本人ソプラノ(誰だったのかは忘れました)の評判が高かったとの記憶があります。

以来、この作品は再度舞台あるいは映像で観てみたいとの想いがあり、先日、ウィーン国立歌劇場による2005年の公演がDVD化されたので早速購入した次第だったのです。60717werther

さて、この新盤、ウェルテルにはポスト三大テノールの呼び声も高いM・アルバレス(T)。恋に悩み狂う主人公を演じるにはあまりにも健康体の外見ですが、声の美しさと狂気へ至る演技力は十分に合格です。ヒロインのシャルロッテには、これも人気上昇中のE・ガランチャ(Ms)。舞台を1950年代の東部アメリカらしき場所に移し変えた演出のなかで、まるでマリリン・モンロー風の装いと温かみのあるメゾでウェルテルのみならず観客たちをも惹きつけます。幕が変わる毎の季節の移ろいを表現した舞台美術も美しく、ウィーンでの「ウェルテル」の伝統を感じました。ただ、録音のせいでしょうか?ウィーンフィルの響きはもっと深みがあったのでは?という疑問が残りました。

このDVD、アルバレスやガランチャのファンは勿論のこと、これまでのモーツァルトやヴェルディからフランスオペラにもレパートリーを拡げたいという方にはお薦めです。

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