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2006年7月31日 (月)

『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』

海賊冒険映画というからには雄大な海洋風景と潮風の香りを期待していたのですが見事に裏切られました(J・デップ目当ての観客にとっては満足でしょうが)。60730pirates_1 前作「呪われた海賊たち」よりもコメディタッチが増えたのは良いのですが、SFXの多用や不気味なモンスターたちの登場、楽天的な物語展開によって、まるで「インディ・ジョーンズ」と「ロード・オブ・ザ・リング」を足して3で割ったような作りです。話が来年公開予定の次作に持ち越されているのも気に入りません(多分、僕は見に行かないと思います)。

もう随分と昔になりますが、1962年の米国映画「戦艦バウンティ」を思い起こします。暴虐に耐えかねた乗組員たちによる反乱後、バウンティ号はイギリス海軍に追われながら南太平洋を彷徨い、タヒチ、更には安住の地を求めて無人島に辿り着きます。これは1787年に起こった実際の事件をもとに描かれた映画で、その年のオスカーは「アラビアのロレンス」にさらわれたものの、海を舞台にした実にスケールの大きい人間ドラマでした。主演はマーロン・ブランドでした。僕がこの映画を見たのはまだ小中学生の頃でした。当時、登場したばかりの70ミリ大画面での海洋描写に圧倒され、この映画のために造られた勇壮な帆船の姿にロマンを駆り立てられたものです。その当時、「アラビアのロレンス」では雄大な砂漠を、「ドクトル・ジバゴ」では凍えるシベリアの大地を、というように大自然を人間ドラマと共に描いていました。最近は制作費と興行リスクが問題だからでしょうか、雄大なロマンを感じさせる新作映画に殆んど出会えないのは寂しいことです。

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2006年7月28日 (金)

茅ヶ崎

所用で茅ヶ崎に出かけました。物心がついた頃から子供、少年時代を過ごした思い入れの深い街ですが、今では同窓会のある時くらいにしか訪れなくなってしまいました。60726beach_1 かっては、毎夕の如く犬の散歩で訪れていた海岸にも久しぶりに出てみましたが7月の末とは思えない長梅雨の曇空の下、例年の真夏の賑わいとは程遠い風景でした。江ノ島は遠くに霞み、えぼし岩の寒々しい岩肌には白い波が打ち寄せていました。しかし、自分にとって、茅ヶ崎の海の原風景とはむしろこんなものです。何の変哲もない殺風景な浜辺に佇みながら過去への物思いに耽る贅沢さをしばし味わいました。

すっかり有名になった浜料理の店「えぼし」は近海で捕れた魚料理が自慢の店です。確かに美味しいです!200種類を越えるメニューの豊富さは普通の磯料理店の比ではなく壮観です。お奨めはやはり地元の新鮮なアジ(刺身、たたき)、いわし(刺身、つみれ汁)、キス(てんぷら)、しらす(生、てんぷら)といったところでしょうか。僕が茅ヶ崎に住んでいた頃はこの店は未だ存在していませんでした(創業26年とのこと)が、今では駅前店(店名「赤い魚」)や海老名支店、デパート売り等に拡がっています。たまに茅ヶ崎に用事が出来たときには必ず寄ることにしています。 60726eboshi_1

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2006年7月17日 (月)

マスネ歌劇『ウェルテル』

音楽(オペラ)の話題が続きます。今回はフランスの作曲家マスネが1887年にゲーテの「若きウェルテルの悩み」を下敷きにして創り上げた「ウェルテル」のDVD盤です。美しく甘美なメロディとメランコリックな響きが特徴で、各幕間の間奏曲は後の印象派作品への前触れを感じさせます。

勿論、大衆作品としてのオペラである以上、原作の持つ文学性や人物の掘り下げ等、不朽の名作としての価値の踏襲には限界があります。それでも、この作品は音楽の力によって格調の高い、誠実な舞台劇に仕上がっています。

僕がこの作品を初めて観たのはもう随分と昔、1989年に出張で訪れたウィーンで偶然、国立歌劇場のチケットが入手出来た時でした。何の予備知識もない観劇で、かろうじて学生時代に読んだ原作によって物語展開についていくのが精一杯でした。それでも、音楽の美しさに耳を奪われ、季節毎の公園の彩りを模した舞台の美しさには目を見張りました。ソフィー役の日本人ソプラノ(誰だったのかは忘れました)の評判が高かったとの記憶があります。

以来、この作品は再度舞台あるいは映像で観てみたいとの想いがあり、先日、ウィーン国立歌劇場による2005年の公演がDVD化されたので早速購入した次第だったのです。60717werther

さて、この新盤、ウェルテルにはポスト三大テノールの呼び声も高いM・アルバレス(T)。恋に悩み狂う主人公を演じるにはあまりにも健康体の外見ですが、声の美しさと狂気へ至る演技力は十分に合格です。ヒロインのシャルロッテには、これも人気上昇中のE・ガランチャ(Ms)。舞台を1950年代の東部アメリカらしき場所に移し変えた演出のなかで、まるでマリリン・モンロー風の装いと温かみのあるメゾでウェルテルのみならず観客たちをも惹きつけます。幕が変わる毎の季節の移ろいを表現した舞台美術も美しく、ウィーンでの「ウェルテル」の伝統を感じました。ただ、録音のせいでしょうか?ウィーンフィルの響きはもっと深みがあったのでは?という疑問が残りました。

このDVD、アルバレスやガランチャのファンは勿論のこと、これまでのモーツァルトやヴェルディからフランスオペラにもレパートリーを拡げたいという方にはお薦めです。

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2006年7月15日 (土)

ハイドン『騎士オルランド』

ハイドンの歌劇「騎士オルランド」のCDが出たので早速聴いてみました。ほとんど上演機会のない珍しい作品ですが、ハイドン特有の明るい音造りに満ちた叙事劇です。この曲が作曲された1782年といえばモーツァルトの「後宮からの逃走」の作曲年と同じです。オペラが特権階級から大衆のものになりつつある時代を反映し、音楽はとても機知に富んだものとなっています。数年後に作曲されるモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」の登場人物の原型もあちこちに聴くことが出来ます。60714orland

演奏はアーノンクール指揮のウィーン・コンツェントゥス・ムジクス、歌手陣はシャーデ(T)、ゲルハヘール(Br)、ギューラ(T)、ハルテリウス(S)といった若手を中心に、ヒロインとして、我がパトリシア・プティボン(S)が表情豊かな美しい声を聴かせています。魔女役のエリザベート・フォン・マグナス(Ms)は、やはりアーノンクールとチューリッヒ歌劇場による「フィガロの結婚」でいやに若くコケティッシュなマルチェリーナを魅力的に演じていました。解説書によるとアーノンクールの三女とのこと。なるほど・・・。

アーノンクールによるハイドンの歌劇としては次作品の「アルミーダ」のCDが4年前に出されています。ヒロインにバルトリ(Ms)、その妹役に早くもプティボンを起用していました。ウィリアム・クリスティをはじめとする多くの指揮者によって引っ張りだこの存在です。

尚、「オルランド」も「アルミーダ」も演奏会形式の公演をCD化したものです。プティボンの魅力は視覚化されることで何倍にもなることから映像化も是非望みたいものです。

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2006年7月 7日 (金)

ロシアパワー

60706russia 「ニューズウィーク日本版」の今週号がロシア特集ということをniftyserve時代からの通信仲間、miss keyさんのblogによって知り、早速購入しました。

特集の割にページ数はそれほど多くはないのですが、それでも今のロシア大都市を覆う消費パワー熱の凄まじさを興味深くレポートしています。一方で、この空前の消費バブル状態がバーレル当り70ドルを越える原油高と膨大な量のガス輸出による、謂わば「油上の楼閣」であることも指摘されています。併せて、内部生産設備への投資に向かわない消費環境、地下マネーの横行による治安の悪化、民族主義者たちによる人種差別犯罪等々の陰の部分の拡大も深刻な状況です。

私自身、仕事を通じ、1976年の初訪ソ以来、50回を越える訪問や滞在によって、ブレジネフ時代以来のそれぞれの歴史の節目に立ち会ってきましたが、今ではかってのソビエト連邦時代にはとても想像出来なかった華やかで賑やかな街や人々の様子には驚かされるばかりです。かってショッピングといえば国営のグム百貨店での長蛇の列と無愛想な店員、レストランに入れば、ウェイトレスがやってくるまで30分、メニューに関わりなく、実際に出されるのは2、3品といった「社会主義的サービス」に辟易とさせられたものです。ビジネスの分野においては融通の利かない官僚体制には何度も泣かされました。それでも、一方ではプライベートでは善意の塊のようなロシア人と深夜でも安全が保証された街によって独特の居心地の良さを感じたものです。

昔と今とどちらが良かったかと言う問題ではありません。時代の流れです。冷戦構造の消滅と政治的諸自由の拡大、ソ連邦構成国の独立が悪かろう筈がありません。いったんはズタズタにされたロシア人たちのプライドも別の形で序々に取り戻されつつあります。但し、この数十年、相も変わらないのが地道な生産設備への投資と整備の怠りです。今も、地方の寂びれ具合と貧困、設備の老朽化は目を覆うばかりです。原油マネーに浮かれたバブルがはじけた時に、この国には再度の試練が訪れることでしょう。

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2006年7月 6日 (木)

しばらくお休みでした

しばらく書き込みをお休みしていました。

実は私事になりますが、2週間ほど、都内の病院に入院していました。左副腎の良性腫瘍が作用して血圧値を上げていたので、思い切って摘出したのです。内視鏡を使った、いわゆる腹腔鏡手術は術後の回復も早く、約一週間後には職場復帰も果たしました。医学の進歩をまざまざと実感した次第です。

入院中はノートPCb-mobileを装着してベッド上からネットにアクセスしていました。勿論、病院内は基本的に携帯ツールは使用禁止ですが、近くに心臓ペースメーカー患者は不在ということで認めてもらいました。ある時、看護師さんが画面を覗いて「わぁ、Kさんもmixiやってんだぁ」。聞くところによると、同じ病棟の多くの看護師さんがmixi会員とか。

上野公園を見下ろす病室でしたので、次に持ち込んだのが双眼鏡(^^;)。蓮の葉に覆われた不忍池での開花観察が日課でした。60706hospital

松本清張の「Dの複合」と「霧の旗」を読みました。骨太の推理小説です。これらが書かれたのは1960年代です。風景や背景の描写がかっての昭和の時代の空気を想い起こさせてくれました。

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