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2006年5月 5日 (金)

映画『RENT』

映画版「RENT」を観ました。Image_rent_1

このミュージカルをロンドンのShaftesbury劇場で初めて観たときの衝撃と感動は今でも忘れられません。それまでミュージカルといえば、Broadway作品よりはむしろA・ロイドウェバーに代表されるような、美しいメロディラインに加えて演劇性に優れたロンドンのWest End作品(オペラ座の怪人、キャッツ、エヴィータ、サンセット大通り、Whistle Down the Wind、レ・ミゼラブル、ミス・サイゴン等)をもっぱら好んできました。しかし、この「RENT」はそういった僕の中のミュージカルの既成概念を根底から覆す作品だったのです。簡素なステージと小人数のバンドによるロックのリズムがこんなにも感動を与えることになるとは想像もつきませんでした。ロンドンでは劇場に3回ほど足を運びました。東京での来日公演にも出かけましたが、スピーカーからの音が割れてしまい残念ながら音楽と舞台に集中することは出来ませんでした。今年の秋には再度の来日公演が予定されているとのことですが、音響には注意してもらいたいものです。

この「RENT」がプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」を下敷きにしていることはご存知の通りです。劇中に3回ほど、プッチーニのメロディ「ムゼッタのワルツ」の一部分が流れます。作曲者のJ・ラーソンのプッチーニへの畏敬の念ゆえでしょう。オペラファンにとっては「ラ・ボエーム」との共通点探しをするのも楽しいものです。

さて、今回の映画版です。狭い舞台から飛び出して、1990年頃のNYの街を想定した実写版となっていますが、音楽の説得性はそのままに、舞台とはまた一味違う感動を与えてくれます。いくつかの曲をカットし、台詞も一部変えていますが、マイナーな変更です。出演者の多くがブロードウェイでの初演メンバーであることからも映画化による違和感をほとんど受けません。むしろ実写化によって物語性と人物描写への深み(特にHIVと向き合うことへの恐怖)が深まったように感じます。

改めて、この「RENT」という作品の素晴らしさを再認識させてくれた映画でした。

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コメント

YASU47さん、コメントとトラックバックありがとうございました!
ウェストエンドでご覧になっているのですね。羨ましい限りです。
私も、秋の来日公演には是非足を運びたいと思っています。

投稿: けいこ | 2006年5月 6日 (土) 01時21分

私も映画『RENT』見てまいりました!(TBさせていただきました。)
最初、映画になってどうなるんだろうか…という一抹の不安があったこの映画化。予告編を見て、その不安はほぼ解消されましたが、映画本編を見て納得! もちろん映画なので、それなりに変更されてはいますが、監督の舞台版へのリスペクトが感じられる素晴らしい映画でした。2人をのぞいてオリジナルキャストをもってきたのは正解でしたね!

投稿: しえる | 2006年5月12日 (金) 01時32分

しえるさん、コメント&TBありがとうございます。不思議なのはこの素晴らしい映画の上演館数が圧倒的に少ないことです。感動と興行成績は一致しないということなのかなぁ?映画、舞台共に、このミュージカルの素晴らしさをもっと多くの人たちに知ってもらいたいのに残念です。

投稿: YASU47 | 2006年5月12日 (金) 21時55分

上演館が少ないのは残念ですね。東京でも最初は2カ所だけだったそうですね。今は5カ所に増えたそうですが。丸一日予約で埋まってしまっていて、翌日にならないと見られない人もおられたみたいで、映画でそれはないでしょう…と思ってしまいます。これからでも遅くは無いので、もうちょっと宣伝して上演館を増やしてくれないかな~。もっと多くの人にこの作品を知っていただきたいです。

投稿: しえる | 2006年5月16日 (火) 01時30分

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映画「RENT」見てきました。良かったです!「オペラ座の怪人」以上に舞台版に忠実 [続きを読む]

受信: 2006年5月12日 (金) 01時29分

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