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2006年4月20日 (木)

危険な海上ゲーム

平和であるべき海で危険なゲームが行なわれています。日韓双方が領有権を主張している竹島(独島)海域を巡って、今回、日本側が仕掛けた行動は同島を実効支配している韓国側からみれば挑発行為と受け取られても止むを得ないと思われます。今、この時点で韓国側の猛反発が容易に予想される行動を何故、敢えて行なわなければならないのか理解に苦しみます。6月にドイツで開催される海洋会議への資料提出のためという技術理由を掲げていますが、実態は韓国側の反応を探るための「政治挑発行動」の一環と受け取られても仕方がないでしょう。60420takeshima_1

そもそも、竹島(独島)がどちらの国に帰属すべきなのかということを声高に主張しあっても解決には至りません。幾らこの島に関する歴史を紐解いたところで状況を変えることは出来ないでしょう。世界のそこら中に点在する国境紛争、領有権紛争のひとつであり、国家や民族の問題を解決出来ない現時点での人類の知恵の限界の好例とも言えます。ナショナリズムと力関係でもって一方的に利益を図ろうという発想に立つ限り解決はありえません。ましてや、日本が拠り所の一つとしている1905年の島根県への編入は1910年の日韓併合の前夜であり、韓国にとっては屈辱の歴史への第一歩だったのです。

今回の強引ともいえる挑発行動にはどのような政治的意図があったのでしょうか?(ましてや、国民の多くが拉致問題での日韓の共同歩調を心情的に望んでいる時に)。今回の緊張で最大の利益を得るのは支持率が急落していたノ・ムヒョン大統領であることに疑いはありません。一方、日本側の目論見は将来的な地下資源の権益確保?紛争の国際化による仲裁(例えば国連による)の期待?しかし、それらは日韓友好関係のひび割れで失う不利益に比べて果たして割りに合うものなのでしょうか?

最も考えられる背景はナショナリズムの高揚による憲法改訂への布石です。自民党による新憲法草案では、前文で『日本国民は、帰属する国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支える責務を共有し・・・』、第12条では『常に公益および公の秩序に反しないよう自由を享受し、権利を行使する責務を負う』という文章を追加しています。すなわち、これまでの「国民主権」から「国家を国民の権利の上位に置いたもの」となっており、明確な国家主義(加えて、9条改訂による軍事力を保持)が読み取れます。本来、世界が向うべき国際協調と友好の路線とは反対にナショナリズムと排外主義へ向かおうとしています。政府がこのような危険なゲームを通じて国民のナショナリズムを煽ることに危機感を抱きます。

各国が政権の維持と自国の目先の利益のためにナショナリズムと排外主義に陥っているのが、とりわけアジアの状況です。この間、日韓共催のW杯、音楽や映画を通じた文化の相互浸透、ますます増加する人々の往来、深まる企業提携等を通じてやっと醸成されてきた信頼関係が今回の出来事で一挙に崩れてしまうことを恐れます。国家間の危険なゲームは双方の友好を願う国民を巻き込むことなく、一握りの政治家たちのみで行ってもらいたいものです。 

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