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2006年3月19日 (日)

水の翼

「無伴奏」に続いて小池真理子さんの仙台を舞台にした「水の翼」を読みました。木口木版の世界は興味深く、またその描写も丁寧だったのですが、総合的には瑞々しい青春小説としての「無伴奏」の方に軍配が挙がります。物語の最後で主人公の東吾がテロ行為に走るという唐突な結末にも納得がいきません。彼は政治的行為から最も遠い世界で生きてきた筈です。aquawing

 

物語に登場する高級和菓子屋「賣茶翁」はその時代から名前を知られていましたが貧乏学生だった僕らにはとても敷居をまたぐことは出来ず、和室で抹茶と和菓子を注文したのは卒業後、しばらく後のことでした。喫茶「Lips」というのは実在したのかどうか記憶にありません。工学部の僕らにとって片平キャンパス地区はあまり縁のない地域でした。

「無伴奏」と「水の翼」を通じて小池真理子さんの1969-1970年の頃の仙台への思い入れには多いに共感を得ることが出来ました。この時代、恐らくはどこの地方都市もそうであったように、その地域独特の空気というものが存在していました。仙台においても、一番丁、片平、霊屋、川内、広瀬川沿い、青葉城跡といった地域は仙台にしか在り得ない風景と佇まいを持っていました。加えて、小説にも登場する「無伴奏」「賣茶翁」といった一部の常連によって支えられたユニークな店の存在がありました。尚、当時、牛タンは特に仙台名物ではなく、学生達が好んでコンパを行っていたのはもっぱら「とんちゃん」と呼ばれた安い牛モツ屋でした。

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コメント

YASU47さん、こんばんは。
コメント&TBありがとうございました^^

賣茶翁は実在する和菓子屋さんだったのですね!そして、『無伴奏』でもそうでしたがこの頃学生だった方は喫茶店をよく利用されていたのですね。
私は『水の翼』も好きなのですがYASU47さん同様『無伴奏』の方がさらに好きです。

投稿: みらくる | 2006年3月20日 (月) 18時00分

みらくるさん、コメントありがとうございます。みらくるさんのお陰で、この作品を知ることが出来ました。
当時は今と比べて娯楽の種類も限られていて、もっぱら雀荘と喫茶店で時間を潰していました(^^;)。でも、喫茶店では政治や思想に関するものも多く、よく口角泡を飛ばしながら議論をしていました。ですから、いっそうこの時代が懐かしいのでしょうね。

投稿: YASU47 | 2006年3月20日 (月) 22時04分

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