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2006年3月14日 (火)

タッチアップ

WBC(World Baseball Classic)の開催にはこれまでほとんど興味を持てないでいました。旧態然たる日本プロ野球界の自浄改革抜きの人気回復策、この時期に選手たちをフル稼働させることによる故障の恐れ、アジアにおける日本野球界の驕り、過度の愛国心高揚によるメダル至上主義といったことへの抵抗感故でしょう。

その日本チームが予選2次リーグの初戦でアメリカチームと対決し、緊迫した試合を見せてくれました。西岡、川崎らの溌剌としたプレーはプロ野球界の将来に明るい展望を与えてくれます。WBC
さて、その西岡のタッチアッププレーへの覆し判定は明らかに主審のミスでした。技術的な問題は別として、そもそも国際試合に利害国の審判をあてがうことに何の疑問を抱かない点だけも、(アメリカの審判=世界の審判)という国際感覚の欠如の現れです。恐らく、この主審は善意と愛国心に満ちた正直者でノー天気の典型的なアメリカ人で、実は3-3の緊迫した展開に誰よりもやきもきしていたのかもしれません。外野からの送球も大きく外れ、失望のどん底に沈んでいた時、マルティネス監督からのアピールに思わずとびついてしまったというのが僕の憶測(かなりの(^^;))です。

アメリカには、こういった善意の愛国者の実に多いこと!仕事で付き合いのあるアメリカの友人たちはさすがに国際感覚に優れていますが(少なくとも僕らの前では)、信心深く、親切で、善意に満ちた大多数のアメリカ国民は(アメリカの正義=国際的な正義)であることに何の疑問も抱きません。イラク侵攻3周年を迎えようとして、さすがに、国民の一部はブッシュの誤りと欺瞞に懐疑を抱いていますが、まだイラクからの即時撤収を迫るほどの大きな世論とはなっていません。同情心はあるももの、イラクやイスラムの人々の立場に立って困難さを思いやる想像力には決定的に欠けています。善意と無知が引き起こしている侵略と殺戮に比べれば、タッチアップの誤審など、どうでもよい出来事なのですが、「アメリカ的善意」による解決がアメリカ自身の墓穴を次第に掘っていることに気づくには、アメリカ人の大多数はまだまだ豊か過ぎるようです。

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コメント

YASUさん、こんにちは。
なんだか、あの審判、視力が悪いらしいですよ。
そんな人間に審判させるな!という話です(笑)。
準決勝でも球審を務める予定になってるとか・・・。
いいかげん「退場」してほしいものです。

投稿: Orfeo | 2006年3月18日 (土) 14時28分

Orfeoさん、こんにちは。
OrfeoさんのところのWBC記事が本業のオペラやサッカーを差し置いて大変なことになってますね。今、僕も37番目のTBを行ってきました(^^;)。明日の日韓戦は勝敗よりも主審の判定具合に興味が湧きそうです。

投稿: YASU47 | 2006年3月19日 (日) 00時30分

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