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2006年1月 7日 (土)

ロシアとウクライナ

のっけっから固い話題となりますが・・・。

新年早々の天然ガス価格をめぐるロシアとウクライナの対立は、ロシアによるガス供給停止という荒療治の余波を受けたヨーロッパ諸国の介入もあって急転直下、当面の収束に至りました。しかしながら火種は燻ぶったままであり、再度の抗争が予想されます。

今回の事件は、ヨローッパ諸国のロシアへのエネルギー依存度の高さと旧ソ連邦諸国間の軋轢の深さというものを再認識させるという意味でとても興味深いものでした。

ロシアへのエネルギー依存

例えば、ドイツにおいてはエネルギーの約33%をロシアに依存しているとのことです。今回の事件の結果、安全保障の見地から、ヨーロッパ諸国による中東や北アフリカからのLNG輸入計画やロシアを経由しない中央アジアからの輸入計画に弾みがつくことは容易に予想されます。日本にとっても2008年からの供給が予定されているサハリン2プロジェクトからのLNGに続く、サハリン、東シベリアからのパイプラインを通じたガス、石油輸入計画の見直し機運が高まるであろうことは必至です。長い目で見た場合、今回のロシアによる強行処置は裏目に出たように思います。

旧ソ連諸国間の軋轢

ロシアとウクライナはソ連時代の友邦というだけでなく、民族、歴史、言語、文化の諸点において双生児のような関係でした(ロシアのルーツがそもそもウクライナのキエフ公国にあり)。それが、ソ連邦の崩壊と共に、脱ロシア・入欧を目指すウクライナとかっての盟主に固執するロシアとの距離が次第に遠去かり、昨年のユーシェンコ大大統領の登場により両国の亀裂は決定的となりました。しかしながら、ウクライナ国内の保守派(ロシア派)の勢力はまだまだ根強く、今後の展開は予断を許しません。

また、今回の事件で浮かび上がったのは、やはり旧ソ連邦の構成国であり、安価なエネルギー供給国としての中央アジア諸国の存在です。その政治安定性も含めて、この地域の動向が大きく鍵を握っています。

これからの社会

今回の出来事を通じて、エネルギー消費というものを再考させられました。今は「資源バブル」とも言われています。一昨年以来の異常ともいえる原油高(本日、67$/バーレル)にも拘わらず、各国では膨大な量の生産と消費のサイクルが続いています。おりしも人口減少に向かう日本、地球の温暖化を加速し、限りある化石燃料を使い続けてきた消費サイクルに少しでも歯止めがかかればと思います。車、エアコン、TV、ネオンに囲まれた生活からの脱却は簡単ではありませんが、国家によってエネルギーの元栓を閉鎖された今回の出来事を教訓に出来ればと考えます。併せて、エネルギーの争奪を理由とする戦争や紛争に歯止めがかかることを願うばかりです。

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コメント

>今回のロシアによる強行処置は裏目に出たよう

賛成です。不信感を抱かれる行動、ぼう国と同じ。まあ確信犯なら、もう少しうまくやれ!って言いたいですね。

>両国の亀裂は決定的と・・(ロシア派)の勢力はまだまだ根強く、今後の展開は予断を許しません

確かに、あんまりこじれると、ユーゴ内戦的な危険性もある民族地図ですからね。ウクライナも。
指導者には、慎重な対応をお願いしたいですね。ナショナリズムをあおらないように・・。

投稿: | 2006年2月11日 (土) 22時18分

↑名前入れ忘れました。すみません。

投稿: 建つ三介 | 2006年2月11日 (土) 22時19分

建つ三介さん、コメントをありがとうございます。その後の経過を注目していますが、例えば、田中宇氏の見解などによると(以下のURL)、オレンジ革命派の内部でも腐敗が顕在化したり、分裂が起こっているようですね。
http://tanakanews.com/
建つ三介さんが言われるように、ナショナリズムの政治的利用が容易に行われる風土が最も恐いと思います。

投稿: YASU47 | 2006年2月12日 (日) 15時12分

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ロシアとウクライナの天然ガスを巡る紛争は、ロシアからパイプラインで天然ガスを引くEUにとって、エネルギー安全保障に対する深刻な挑戦を意味しています。EUはロシアによる天然ガスの供給停止という事態を想定したエネルギー政策へ転換する必要があります。石油備蓄の他に液化天然ガス備蓄も必要になります。きっと石炭火力も復活するでしょう。今までの反原発政策も反転せざるを得ないと思われます。(Duke@神奈川)... [続きを読む]

受信: 2006年1月 9日 (月) 13時43分

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